最終更新:2000/8/10

File No. 06 研究テーマ
萩尾作品におけるバレエ―作品中のオリジナルバレエを検証する―

   
CAPTER 3
使用音楽について、さらに独断による推測で穴を埋める

バレエについて書かれた内容の中から、特定出来ない分に対して更に検証する。

 

work 1


二幕は“ニジンスキー登場以前タリオーニを中心としたロマンティックバレエまで”の幕であるので、バレエ史上重要な作品から編成されていると考えていいのではないか。

「ジゼル」  (作曲:アドルフ・アダン)
「ラ・フィユ・マル・ガルデ」
       
(アシュトン版作曲:フェルディナン・エロルド/編曲:ランチベリー)
「コッペリア」(作曲:レオ・ドリーブ)
「海賊」   (作曲:ドリゴ)
「ライモンダ」(作曲:グラズノーフ)

あたりを並べると代表的なバレエ音楽の作曲家も押さえることが出来るし、良いのではないか。

 

work 2


「マーラー ドヴォルザーク ピアフのシャンソン 行進曲 ワーグナー」は作中のセリフにあるがどこに使われているか特定出来ないもの。可能性としては二幕以外、主に三幕ではないかと思われる。

マーラーは萩尾さんの好きなベジャールもよく使用しており、イメージ的にはエンディング曲に使うと良いのではないか。曲は「大地の歌」「子供の不思議な角笛」」「亡き児をしのぶ歌」などなど...。

・ドヴォルザークは20世紀のバレエ、ハインドによる「交響的変奏曲」、ルフェーブルによる「交響曲新世界より」チューダーによる「弦楽四重奏」などいろいろ使用されているのでいずれかではどうか。

・ピアフのシャンソンはひょっとしたら一幕の方が流れに合うような気もする。曲は見当つかず。

・行進曲、とだけあるが三幕に入れるとして、モーツアルトの「トルコ行進曲」あたりではどうか。民族色が出ることと、天才音楽家を押さえることが出来る。選択幅広すぎる。

・ワーグナーも20世紀のバレエでベジャール他いろいろ使用されているので、三幕でいいと思う。曲はどこにどう入れるかによるが「タンホイザー」「ニーベルングの指環」あたりではどうか。

・「宮廷舞踊」「民族舞踊」とくるのはバレエの発祥までさかのぼったというイメージなのだが曲としては何を入れるのがイメージか? バレエの発祥のフランス宮廷音楽としてF・クープランの「クラヴサン曲集」を使ってみるとか。シュトラウスのワルツなどはどうか。“狂乱のカーニバルめく”ということからオッフェンバックの「天国と地獄」などどうか。「三角帽子」のファリャの音楽を使うのはどうか。

・「三幕はマズルカであけ」とあるが「マズルカ」とはポーランドの三拍子の舞曲のこと。これを芸術音楽に導入したのはショパン。既にショパンは二幕で使われているので、「グリンカ、チャイコフスキー、シマノフスキ等によっても作曲された」(音楽用語辞典より)とあるので別の作曲家のもので何か。

 

work 3


一幕の使用曲不明について

・イントロ*バッハ*コラール・プレリュード「目覚めよ、と呼ぶ声がきこえ」ではどうか。この曲名は『海のアリア』第四話の章題“めざめよと夜を守るものの声は呼ぶ”と使われてるしバレエの導入として「十二宮神の登場」という場面にはイメージが合うのではないか、と思われる。

・タンゴはピアソラによるアルゼンチンタンゴのメジャーなものではどうか。バレエ「タンゴ」で使われたのはどの曲だったのだろう?

・大地の女神、ガイアのシーン*ストラヴィンスキー*バレエ音楽「火の鳥」からではどうか「火の鳥」はストラヴィンスキーの代表的なバレエ音楽であり、フィナーレにかけての音楽のイメージがこのダンスシーンによく合っていると思う。

 


研究員からのお願い

以上について、バレエ音楽に詳しい方のご意見、情報等をお待ちしております。独断/推測についてはあくまでも個人的なイメージです。こういう作業を面白がっていただける方に是非ご協力頂きたく思います。(「フラワー・フェスティバル」をお読みの方でないと、この作業は難しいと思われますが、ここに記載の事項を読んでバレエに詳しい方の訂正、フォローなどあれば有り難いです。)

 

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資料作成:天野章生 / 作成日:1999/10/14 最終更新:2000/8/10

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