月の岩屋【萩尾研究ワークショップ】
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Anything O.K.?
text: ヤマダトモコ(guest)
[プロフィール]
フリーのマンガ研究者。
ミュージアムのマンガ部門、専門学校のマンガ講師、
マンガライターなどをして生計をたてている。
ネットでは『
コミックパーク』でコラムを連載。

ヤマダトモコ仕事目録

2002/9/8 last update
all illustration by Fusami Jono

04知らざぁ言って聞かせやしょう
10知らざぁ言って聞かせやしょう、その2

16となりの編集さん
22少林サッカー!!
28名香智子が好きだ〜〜〜〜!!!!

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ヤマダイラスト ▼好 第4回

知らざぁ言って聞かせやしょう

update:2002/3/23

 こんにちは。『図書の家』のこのコーナーに参加できること、とても嬉しいです。
 ところで私はフリーのマンガ研究者という肩書を名のっています。「ヤマダトモコって誰さ?」そして「フリーのマンガ研究者ってなにさ?」というかたもいらっしゃるかと思います。実は私自身いまだによくそう思うのです。ですから今回は、自己紹介も兼ねて、私がこの肩書を名のるに至ったワケを書かせていただこうと思います。
 私は、大学を卒業して以来、マンガ関係の仕事しかしたことがありません。でもマンガ家と編集者はしたことがない。では何をしてきたかというと、マンガ専門店でのバイト7年、あるミュージアムの漫画部門で学芸補助のバイト10年以上、専門学校でマンガ情報を教えて4年目、マンガライター歴4年目など。これらの年数を全て合わせるとけっこうな年になってしまうのですが、実際はこれらを平行してやってきました。
 なんというか「マンガ界のスキマ家具」とでもいいたい。こういった中途半端な状態でお仕事をしていると、時々ちょっとヤな感じになることがあります。
 もう先のことです。私は博物館を通してお仕事を受けることも多いのですが、肩書にミュージアムの名を入れて欲しいとのことなので「●●ミュージアム所属」と入れたところ、向こう方の配慮からか、それが「●●ミュージアム研究員」という名称に変っており、ちょっと問題になりました。そのミュージアムには「研究員」などというものはないので、身分を詐称したことになるのではないか、とのお達し。私は「所属」と書いた自分の入稿原稿を提出し事なきを得ました。その肩書には上から「マンガ研究家」というシールが貼られることになりました。こんないきさつで私の肩書は「マンガ研究者」になったのです。
 さて「研究者」を名のっていると「どちらにご所属で何がご専門ですか?」と訊ねられることも多いです。私は「マンガ学部・少女マンガ学科・最近の研究テーマは月刊誌時代の少女マンガです。」と答えて笑いをとりたくなるのを必死でこらえ、かわりに頭に「フリーの」と付けることにしました。これだけで事情を察してくれる方も少しはいます。なんの疑問も感じない方もいます。「研究者にフリーもなにもないでしょう」という答えをくださる方には、上述の理由を述べ、ちょっと偏屈な人だと思っていただいています。
 こんな私ですが、今後ともよろしくお願いいたします。

ヤマダイラスト ▼好 第10回

知らざあ言って聞かせやしょう、その2

update:2002/5/6(5/9一部改稿)
 さて、タイトルは潔く、内容はちょっと煮え切らないゲストコラムの第二回目です。
 ひょんなことからマンガ研究者を名のることになった私ですが、最初は成り行きでも二度目からは自分の意志で名のっています。もともと私はマンガに関することが出来れば別に立場はなんでもいい、という人間でした。が、そうして生活してきた結果、与えられたのがこの肩書なのなら、これが私に与えられた場所だと考えよう、それにふさわしい自分になろう、と思いました。フリーな状態で立場をハッキリさせないことは、それだけで足元をすくわれる事になりかねないのだと実感した結果でもあります。
 これまでの自分の仕事で、ちょっと研究者的な仕事なのは、まず「<24年組>は誰をさすのか?」(『COMIC BOX』発行:ふゅーじょんぷろだくと/98年8月号所収)という文と、同年某所で開催された「出版資料に見る少女まんが展」の企画監修およびその解説用冊子を書いたことです。前者の仕事は、たぶん、今私が「図書の家」の皆さんと仲良くさせていただけている基盤になっているものです。後者の冊子は単なるコピー冊子ですが、少女マンガにとってとても意味のある仕事だと今でも自負しています。また展示自体は少しリニューアルされて、2001年フランスのアングレームという都市に巡回しました。この展示は、たぶん仏で日本の少女マンガが本格的に紹介された最初の展示だと思います。
 これらの仕事を通して、1950年代〜60年代の少女マンガが書店で取り寄せるなどの普通の方法ではほとんど手に入らない、また当時の少女マンガ家さんたちのインタビューなどもまとまった形ではほとんど存在しない、つまり少女マンガはそのルーツをたどるのが大変難しい、ということにあらためて気づきました。それでその後、当時の少女マンガ家さんたちの証言をとる仕事に着手しているんですが、これが中々成果をあげられない状況にある、といったところです。
 それ以外のライター仕事でも、拙速よりも巧遅を。どんな仕事もなるべくやっつけ仕事にならないように。わからないことは時間の許す限り調べ、ハッタリで断言はしない。そう言い聞かせてやってきました。でも生来のおっちょこちょいのため、実際はそれに反することばかりです。
 我ながら肩に力が入っているな〜、とは自覚しています。でもマンガに詳しい人も、文章の上手な人も、世の中にはたくさんいらっしゃいます。まだ肩の力が抜けるほどの自信は持てないのです。
 こんな私ですが、重ね重ねよろしくお願いいたします。

ヤマダイラスト ▼好 第16回

となりの編集さん

update:2002/6/17

 以前、雑草社の竹内さんという編集さんに、次のようなご質問をさせていただきました。
「エッチ系のレディコミ誌の先鞭を切った雑誌ってなんだと思いますか?  エポックになったというか。いくつかこれかな、というのはあるんですが、ちょっと確信がもてないんですよね。パッと思いついたらお教えください。正確でなくてもいいですから。」
で、それへの返信が以下。
「すみません、レディコミって全然わかりません。エポックといえるかどうかわかりませんが、『アムール』が大きな影響力を持っていたらしいというような話は聞いたことがありますが。」
 これは、初めに読んだときも「なんか変だな?」と思ったのですが、少しして爆笑してしまいました。「レディコミが全然わからない」というのと、『アムール』を知っているという事実とのギャップが、どーしようもなくおかしかった。『アムール』というのは『コミック アムール』というサン出版の過激レディコミ誌ですが、マンガ関係の編集者でも知らない人はまったく知らないと思います。この竹内さんには、次のようなダメ押し仰天エピソードも。
わたし 「他でのお仕事の話でなんですが、今度のコラム何書こうか迷ってるんですよ。」
竹内さん「うーん、最近水野英子さんとか西谷祥子さんとかのマンガが、文庫で再刊されてるじゃないですか。あれなんかどうですかね? あ、でも僕、少女マンガのことはまったくわからないです。
……。雑草社というのは、このコラムを読んでいる人ならばご存じの方も多いでしょうが、どちらかというと少女マンガよりなマンガ情報誌『ぱふ』を出版している会社です。そもそも少女マンガのことがまったくわからない人が勤められるはずはない。そして先の答えも、まったくわからない人の答えではない。でも多分、雑草社には、竹内さんをして、そういわしめるようなすごい人たちがいっぱいいるのでしょう。その為竹内さんの「知っている」ハードルは上がりっぱなしなのでしょう。その人達とはどんな人達なのだろうか? 私の妄想は膨らみっぱなしです。
 マンガに関するライター活動をするようになって数年経ちます。当然編集者の方とお話したりすることも増えました。それ以前から、ベテランマンガ編集者の方に、個人的に以前のマンガについてのお話をお聞きしたりすることはよくありました。その頃からなんとなく思っていたのですが、私はどうやら、編集さんのお話を聞くのがすごく好きみたいなのです。編集さんには、世間(読者)と、ちょっと世事にうといとこのある作家さんとのパイプとしての役割があって、たいていとても親切。かつ人としてのマナーも心得ているし話もうまい。でも、多かれ少なかれそれぞれの専門分野があるためか、少し変った人と接することが多いからか、編集さん自身にも、すこーしだけズレたところがあって、それが時々顔をだす。そういうところが私の琴線に触れるのかなと思います。

※竹内さんは、残念ながら今発売中の16号で休刊してしまった『コミック・ファン』という雑誌の編集長さんです。私もお仕事させていただいていますし、在庫はまだたくさんあるそうなので、もしよければお手にとってみてください。私が特にお薦めするのは、この雑誌で連載されていた、ひらのあゆさんの「御宅百景」というマンガ。オタクというものへの愛と観察のバランスがとれた傑作マンガだと思うんだけどなぁ。
ちなみにレディコミに関しては、その後「雑草社のすごい人」のお一人から丁寧なコメントをいただきました。その節はありがとうございます。

ヤマダイラスト ▼好 第22回

少林サッカー!!

update:2002/7/29

 皆さん観ましたか?? 「少林サッカー」!!
 私は先日やっと行って参りました。すごく面白かったです!! もう場内大爆笑、観客皆が一緒に楽しんでいる一体感ある映画、というのは久しぶりでした。なんでも知人によると日本語吹き替え版のほうがぜったいストレートに面白さが伝わってくるとのことで、そちらでは、味方チームが最後の得点を入れる際には場内で大歓声が湧き起こったとのことです。映画なのに。
 今私は「味方チーム」と書きましたが、この映画はもう単純に敵はホントに悪い奴らの、とってもわかりやすい内容。いえ映画自体も、香港映画+ワールドカップムード=少林寺+サッカー、というとっても単純すぎる内容。そこが素晴らしい。というのは、ある意味バカバカしいくらい単純な内容をある種の熱を持って完成させること、というのは実はすごく難しいと思うんです。映画の手法をマンガに取り入れたり、マンガの手法を映画に取り入れたりすることなんかも、単純そうでホントは絶対難しい。
 さて「少林サッカー」、マンガとどう関係あるのかというと、例えば味方チームの監督が最初はとても落ちぶれた状態ででてくるのですが、それが「あしたのジョー」の丹下段平を思わせるし、少林寺に並々ならぬ思い入れのある主人公の青年が、熱血シーンで目の中に炎を燃やすというのも懐かしの「巨人の星」の感じ。監督&主演のチャウ・シンチーは「キャプテン翼」が好きだったようですが、「アストロ球団」を思い出すという人もいましたし、私は「アパッチ野球軍」を思い出しました。なんつーか味方チームが地を這うような貧乏チーム、敵方チームが無駄に科学的だったりするところがもう……。つまりこの映画、いわゆる<劇画>チックな雰囲気満載なわけです。当時の劇画をよみ返すより、むしろ「少林サッカー」のほうが、当時それらのマンガが受け入れられていた時の感じがわかるんじゃないかな、って思います。現代にうまく合うような部分加えることに成功しているからです。だから、この映画の登場が嬉しいというのは、以前自分が親しんだマンガに影響を受けたのではないかと思える、面白い映画の登場が嬉しい、というのとはちょっと違う。それもあるけど、マンガに映画、特に香港映画の技術がそこに加わることで、すごく新鮮なものが作り出されたってことへの感嘆なんです。しかも技術に感心させるのではなく、笑いと共に脱力を与えてくれるって部分に、ただただ感動するわけです。


ヤマダイラスト ▼好 第28回

名香智子が好きだ〜〜〜〜!!!!

update:2002/9/8

「名香智子が好きだ〜〜〜〜!!!!」
 
なぜか今、個人的に名香智子ブームが到来している。もともと大好きなマンガ家で、私的ブームはしょっちゅう到来するのだが、また大きな波がやってきているのだ。だが、レビューの仕事をしだして数年経っているというのに、これまで彼女についてなんらかのコメントを述べたことがなかった。だからここで強く主張しておきたい、と思った結果が、冒頭の絶叫(?)となったのだろう。と自己分析してみる。
 彼女のマンガには、生まれつき高い地位にいて、世間知らずがタマに傷だがそこがまたいいといった、ほぼ完璧に恵まれているキャラクターがよく登場する。「パンがなければケーキを食べればいいのに。」と本気でいいそうな人々、すなわちお姫さま・お嬢様・大貴族・インテリ等々が目白押しだ。マンガは贅沢を描くのが苦手なジャンルなので、これらの地位にいる人々を、大人になってから読み返してもそれなりにホントっぽく描けている、というだけでも実は驚きである。そしてそのキャラクターたちの、贅沢で完璧で、完璧すぎてなぜかちょっと間抜けな生活をみていると、いいな〜、とも思えるが、人を妬むのはバカバカしい、今自分のいるところでキチンとやっていけばいいのだ、とも同時に思えてしまうのが不思議だ。彼女のマンガの最も大きな魅力は、読者を少女マンガの世界に耽溺させつつ、読者に少女マンガを客観化させることが出来る点だと思う。これは、贅沢をいいなと思わせられるが、同時に自分の生活をきちんとしようと思わせられる、というのとどこか共通しているかもしれない。絵柄はかなりオーソドックスでゴージャスな少女マンガ風。だが、ゴージャスさと上品さが両立している。ミステリーものを描くようになった頃から下品さを少々意識的に作品に取り入れようとしているフシがみてとれるけど、そこにも彼女の知的さを感じる。
 少女マンガを踏まえつつ進化している感じ。そう、一見ぐるっと同じ所をまわってるようにみえて、実は螺旋階段をのぼってる。一ステージあがっている感じ。この螺旋階段をのぼる感じは、良質なものが必ずもっている魅力なのだけど、彼女にもそれがある。
 彼女の作品の中で特に好きなのは「レディ・ギネヴィア」なのだが、双葉社からでているミステリーの短編シリーズもいい。また「パートナー」「パール・パーティ」などの長編も好きだ。なにか話が作品についてなど具体的な内容にならず抽象的になってしまった。が、好きな人について話すってことはそういうことなんだろう。


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