キーワードラリーの道は爆裂続くよ。城野イラスト。

月の岩屋【萩尾研究ワークショップ】
theme 01
Keyword Rally
キーワード・ラリー

「月の岩屋」は、
図書の家研究員による
ワークショップ的試みの発表場所です。
第1回テーマは“キーワード・ラリー”。
萩尾望都に関するキーワードを持ち回りで設定、 ラリー形式でテキストとイラストをUPしました。

研究員総出のワークショップ的試み、
完走できるか、
リタイヤ続出か?
研究員よ行け!!
どこまでも!!


date: 2000/7/8―12/24


キーワード&担当者一覧
no. keyword keyword提出 text illustration date
1
萩尾望都 岸田志野 城野ふさみ 2000/7/8
2 小西優里 岸田志野 城野ふさみ 2000/7/8
3 リスク 卯月もよ 岸田志野 城野ふさみ 2000/7/8
4 クスリ 天野章生 岸田志野 城野ふさみ 2000/7/15
5 riddle(謎) 小西優里 岸田志野 城野ふさみ 2000/7/22
6 流浪の民 卯月もよ 岸田志野 城野ふさみ 2000/7/29
7 ミトコンドリア 天野章生 岸田志野 城野ふさみ 2000/8/5
8 頭に花 小西優里 岸田志野 城野ふさみ 2000/8/12
9 卯月もよ 岸田志野 城野ふさみ 2000/8/19
10 抱きしめたい 天野章生 岸田志野 城野ふさみ 2000/8/26
11 異常事態発生 小西優里 天野章生 城野ふさみ 2000/9/2
12 yellow(イエロー) 岸田志野 天野章生 城野ふさみ 2000/9/9
13 ロケット 卯月もよ 天野章生 城野ふさみ 2000/9/16
14 小西優里 天野章生 城野ふさみ 2000/9/23
15 気まぐれ 岸田志野 天野章生 城野ふさみ 2000/9/30
16 レコード 天野章生 卯月もよ 城野ふさみ 2000/10/7
17 ドレス 小西優里 卯月もよ 城野ふさみ 2000/10/15
18 スランプ 岸田志野 卯月もよ 城野ふさみ 2000/10/21
19 プディング 天野章生 卯月もよ 城野ふさみ 2000/10/28
20 群集 卯月もよ 小西優里 城野ふさみ 2000/11/3
21 岸田志野 小西優里 城野ふさみ 2000/11/11
22 みどり 天野章生 小西優里 城野ふさみ 2000/11/19
23 理想と現実 卯月もよ 小西優里 城野ふさみ 2000/11/26
24 ツワブキ 小西優里 城野ふさみ 岸田志野 2000/12/2
25 キス 岸田志野 城野ふさみ 天野章生 2000/12/9
26 スピリット 天野章生 城野ふさみ 卯月もよ 2000/12/17
27 図書の家 卯月もよ 城野ふさみ 小西優里 2000/12/24

実施期間:2000年7月8日〜12月24日(毎週土曜UP)

part1 1〜5 text: 岸田志野
  6〜10 text: 岸田志野
part2 11〜15 text: 天野章生
  16〜19 text: 卯月もよ
  20〜23 text: 小西優里
  24〜27 text: 城野ふさみ

◆ラリーを終えて text: 萩尾望都研究室
illustration: 城野ふさみ

◆イラストギャラリー イラストだけを集めました。コメントもあり。タイトル一覧
illustration:
城野ふさみ 

▼初めて読まれる方は1から順番にどうぞ。

keyword No.1
萩尾望都

 萩尾望都ってヒトの漫画はスゴイらしい。
 という友人の台詞が、私の「萩尾史」(何それ)の最初の一文である。
 何の気無しに雑誌を繰っていたらばその希有な才能に出っくわしあまりの衝撃で三日三晩眠れず、その足で押し掛け上京しアシスタントとして居座ろうとしたが、しかし門前払いで泣きながら道に倒れて萩尾望都の名前を呼び続けた、などといった劇的なエピソードは残念ながら無い。
 「スゴイらしい」と聞いて「そうかスゴイのか」と、あっさりその日のうちに本屋へ行って買い求めた、というのが実際のところだ。しかしこういうパターンもワタシ的にはそうない。そのころはとにかく、読んだことない漫画だったら何でも読みたい、コマ割ってありゃどんなつまんないものでもいくらでも読めるいいから読ませろ!などという血気盛んな年頃だったとはいえ、何がスゴイのか、どんな絵でどんな作風なのか、男なのか女なのか、ほとんど何も知らない状態。いかに血中アドレナリンが高かろうがそんな未確認情報に無い袖は振れないからである。ちなみにそのときも迷わず古本屋へ行った。子供はカナシイ。そんなことはいい。で、かつてなく劇的ではないがさりげなく劇的に、手に入れたのが赤い表紙の「萩尾望都第一期作品集」である。
 確かにとんでもなくスゴかった。何がどのようにスゴイと思ったか、うまく言えない。一気にまとめて様々なスゴイ作品を読んでしまったことも原因であろう。そのあとすぐに「第二期作品集」の刊行が始まるというニュースを聞き、アタマは理屈を考えるより先に「まだ、読んでないのが、こんなにこんなにぃ!!」という至極まっとうな興奮に占拠されてしまったこともまた原因であろう。とにかく「萩尾望都はスゴイ」面白い!!!ってことで、それで一般読者としては満足してしまったのであった。
 あれから十ン年。「残酷な神が支配する」を毎隔月、悶絶しながら読む日々である。あまつさえ(幽霊研究員の名を欲しいままにしているとはいえ)かようなHPにも名を連ねている。あのころよりは自分の思ったことを言葉にするのもちょっとばかしうまくなっているかもしれない。が。
 相変わらず萩尾望都の何がどのようにスゴイのかはうまく言えない。どうにかして今度こそつきとめてやる!と、毎回尋常ならぬ気合いを入れて再読したりもしているのだが、読み進むうちに・・・・ああ、やっぱり何度読んでも面白い。。。はっ!!!
 またもやられた。ワタシの「萩尾史」には今日も今日とて常敗記録が記されていくのみなのである。っていうか漫画読みって勝ち負けじゃないって・・・。

城野イラスト「萩尾望都」

 

No.1 text:岸田志野 illustration:城野ふさみ 2000/7/8
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keyword No.2
鳥

 「鳥」ときいて今思い出す萩尾作品は、私の場合『マージナル』である。シロイツキシロイホシ。なぜかというと、この作品を最近再読したからである。ふざけた理由ですいません。っていうかこのコーナー、この私にあまり何かを期待しないでください。よろしくお願いします。
 んでもって『マージナル』というとセットで思い出す作品があり。それがオーソン・スコット・カードという人の書いた『ソングマスター』という長編SF小説。ちょうど『マージナル』が雑誌連載されていた頃に読んだことも理由のひとつなのだが、もとよりSFの素養なぞまったく無い私がけっこうな長編であるこの『ソングマスター』を一気読みできたのにはワケがある。似ているのである、この両作品。
 ちなみに『マージナル』はパクリだとか、そんな話がしたいのではゼンッゼン無い。っていうか目に見えたリンクポイントはカードの小説の主人公の名前がミカルってとこくらい、あとセンザイマスターとソングマスターってのが似てるとか・・・おいおい・・・。
 ちなみに私は先にも言ったがSFは全くと言っていいほど疎く、このカード氏についても詳しいことは何も知らない不勉強者。ただ聞きかじるところによると、この人はいわゆる「ハードSF」な作家さんではないそうで、確かにこの『ソングマスター』もファンタジーの色が濃い。
 しかも設定が、天才的な才能を持ちながら何らかの情緒的欠陥も抱えている少年(だったり少女だったり)で、その欠落を克服しながら危機に瀕した世界を救う、なんていうのばっかりだったりして・・・・ほら、似てるじゃないですか、なんとなくだけど萩尾作品に〜。
 具体的に何がどう似ているというより、作家性が似ているのかも。カード氏ご本人も「ぼくのSFでのサイエンスは、作品にリアリティをあたえる程度の意味しかない」とかのたまっていて、要は、SF的世界観を利用して物語を創り上げて行くタイプ。・・・ほら、似てるでしょう、萩尾望都と。
 いや、読み方は人それぞれ、似てようが似てまいが面白ければいいのである。いろいろ言ったが、萩尾SFの世界観が好きな方なら絶対気に入ると思うのでお時間あったら是非読んでみてください『ソングマスター』およびその他カード作品(早川文庫から出ています〜)、ってなことが言いたいだけの私。
 そしてこの文章のどこがキーワード「鳥」なんだっつうと、まあ・・・そこはそれご愛嬌で・・・このコーナーにあまり何かを期待しないで・・・・。

城野イラスト「鳥」

No.2 text:岸田志野 illustration:城野ふさみ keyword:小西優里 2000/7/8
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keyword No.3
リスク

 私にとって「リスク」とは萩尾望都から一番遠い言葉である。
 漫画というジャンルは、あらゆる表現の形態の中でも最も安価に楽しめる類のものであり、元々リスクは少ない。下手打ったところで損益は数百円。だいたいがそんなところにあるものを、言うにことかいて萩尾望都である。その作品のクオリティは、毎度毎度特AAAクラス。世界一の安定株と言い切ったっていい。かような、怪物のごとき作家の「リスク」なぞ考えよーにも・・・と、ほとほとアタマを悩ます私に聞こえてきたのだ、天の声が。TVから。
 宇多田ヒカルである。耳に飛び込んで来たその曲のタイトルは『Wait&See〜リスク〜』。リスク〜〜〜〜!!今回はこれで行かせていただきます、もうすがるように。唐突だが、私は音楽を聴くのが好きである。ただ聴くのでは飽きたらず、歌詞もとことん読む。その上なおかつ「この歌ってまるで○○のことを歌っているようだ・・・そうだ、これは○○のテーマとしよう!」と勝手に妄想を膨らませひとり悦に入る癖がある。歌聞いていちいちそんなことしてるヤツ聞いたこともない、とよく言われる。この際それはおいといて。
 「○○」にはたいてい、その時好きな漫画作品やキャラ名などが入るわけであるが、宇多田ヒカルのこの曲にも既にテーマソング指定が入っている。さて何のテーマソングか。イアンである。もちろん『残酷な神が支配する』のイアン・ローランド君。JASRACが怖いので歌詞の引用は控えるが。ああしかし許されるなら、ここに一言一句書き記して皆様と一緒に鑑賞(検証?)したい。ほんとーに、歌詞、読めば読むほどイアンなのである。イアンがジェルミを思ってブツブツ言ってるような内容。これは今をときめくヒッキーがイアンがあまりに不憫なので一念発起して渾身書き下ろしたとしか思えない。まったくの嘘です、すいません。
 細かいことを言えば、歌詞中主人公は当然ながら女の子であり、よって女言葉で終始語られているとか、現在プチフラワー誌上でのイアンはかつてないドツボの真っただ中にありこの歌ほども未だ気持ち吹っ切れてないとか、曲調や声質も含むとやっぱイアンのテーマとするに少し・・・等いろいろツッコミどころはあるにはある。が、とりあえず歌詞の大方のところだけに特化して考えれば、決してこれは私のみの偏った見解ではないと思う。・・・というか単純に、大まかなところで面白がれれば良いんですけども、ワタシ的には。
 とにもかくにも是非一度、この『Wait&See〜リスク〜』、機会があったら「イアンのテーマ」として鑑賞してみていただけると嬉しい。たぶん『残酷』読んでる方なら一回くらいは楽しめると思う私である。

城野イラスト「リスク」

No.3 text:岸田志野 illustration:城野ふさみ keyword:卯月もよ 2000/7/8
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keyword No.4
リスク

 「クスリ」。微妙な言葉である。特にこうして意味深にカタカナ表記だと、良いクスリも悪いクスリも有形無形も哲学までも範疇と言えば範疇。
 恋の媚薬やら、アッという間にナイスバディに変身!なんていうメルモちゃん的魔法薬なんぞは想像するだにわくわくし、楽しい。で・・・萩尾作品にそういうのってあったっけな・・・。『ジェニファの恋のお相手は』で、ジェニファが根性でオノレの体を取り戻すクスリを開発、ってのがあったな。『キャベツ畑の遺産相続人』でポージィおばさんがナベやらビーカー等を使って研究してたりもするが、あんま成功してなかった。『小鳥の巣』のアランに「魔法だって??」とゲラゲラ笑われるのがオチかー。
 普通に病気を治す「クスリ」ということなら、やっぱこれ、『11人いる!』の予防ワクチン。忘れちゃいかん、気付け薬的に”アルコホル”飲むっていう名場面が『トーマ・・』には。口移しで睡眠薬飲ませるシーンもあった。あー、しかし「口移し」ってのはオトメの永遠のアコガレだよ〜(<何それ)。
 あ、そーいやこのコーナーのタイトルでもある”月の岩屋”にいた毒グモの毒、グリンジャがクスリを処方するシーンがあったあった。彼は薬師という設定だった。この土地の人々がよく吸ってる水煙草のパイプには、ちょい麻薬配合がしてあるのかなあ。「酔う」とか言ってるしなあ。酔っぱらうといやあ『ハーバル・ビューティ』、ありゃクスリじゃなくてハーブか。そういう、ややヤバい系なおクスリにまで思いを馳せてしまうと、『残酷な神が支配する』にはそりゃ洒落にならないエピソードが度々・・・。メッシュも春に骨になった際にちょいと行きがかり上「ヤク」飲んでたしなー。しかしあの「トリップ」のシーンは美しかったなあ。最初は思いっきりバッドトリップだったのに、しまいにゃ「世界は銀砂でできてる」。銀砂でできてる世界に赤のチョークで壁に落書き(手紙だって)するっていうビジュアルはなかなか凡人には思いつかないイメージだ、さすがだよ萩尾先生〜〜・・・。
 いやあ、私事ですが風邪を引いてまして。久しぶりに出したただならぬ高熱にぼんやりとしている頭で、誰もいない家の中でひとり、こうしたイマジネーションを開放しまくるという時間はたまにならなかなか甘美なものであります。文章が支離滅裂なのは熱ってことでお許しください。はい、キーワード「クスリ」の項、終わり。(ええ?マジ??!)

城野イラスト「クスリ」

No.4 text:岸田志野 illustration:城野ふさみ keyword:天野章生 2000/7/15
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keyword No.5
riddle(謎)

 着々とクライマックスに突き進んでいる(らしい)、『残酷な神が支配する』には未だ様々な謎がちりばめられている。もう8年もおつき合いしている物語でありながら、わからないことだらけ、むしろ謎は深まっているような気さえする。
 手塚賞を受賞したときのコメントでは、必ずハッピーエンドで終わる、と輝くばかりの笑顔でおっしゃっておられた萩尾センセイ。もちろん疑っているわけではない、きっと間違いなく『ハッピーエンド』で終わるのだろう、萩尾望都だけに。そう、疑う余地もないところがこれまた困るのである。絶対、間違いなく、萩尾望都なら。私ごとき完璧に納得させるエンディングを描く、描ききるに決まっている。持ち点全部賭けてもいい。なにその持ち点ってのは。クイズダービーじゃないんだから。
 で、「必ず納得のエンドがある」という点が揺るぎないのに、作品からはその片鱗すらわからない。冒頭にも書いたが、この物語は既にクライマックスであるという。終わりが近い。近いのに見えない結末。毎号毎号馬鹿のごとくに「ああ、今月もよりいっそう深みにハマってる、この話いったいどーなっちゃうんだよぉおお??」と思うことは、そのまま作中人物達の混乱とシンクロし、相乗効果で作品を盛り上げていることは間違いないのだが。じゃあいーじゃん。
 しかしここ最近、ちーとばかし状況が変わった。先が見えたのではない。主人公イアンが、ここんとこその謎を放棄しはじめたのである。
 彼はずっとずっとジェルミのことを筆頭に、様々なことをわからんわからん、と悩み続け、悩みつつも彼なりに対処してきた。しかしすべて裏目に出るという状況にとうとう疲れ果てた。気持ちはわかる。私たち読者にはまだ「萩尾望都」という神様の姿が見える。しかしイアンには見えない。そんな悩みもいつか(どんな形であれ)解決するという確信など、彼にはない。そんな中リンドンやナディアからああやいのやいの言われたら、そりゃ疲れるに決まっているのである。よくここまで頑張った、心ゆくまで逃避の道に突き進んでください、受験もあるしね・・・って、ちょっと待てぃ!そうは行くか〜〜〜〜!!!頼む、あんさんがここで諦めちゃったら誰がやるのよ〜〜〜。いやしんどいのはわかる、俺だって一生懸命やってんのにってな愚痴くらいいくらでも聞いてあげるから!!既に私個人の思惑で、物語の謎解きや結末云々言ってる暇などない。そんなもんいいから、イアン、立ち直ってくれ。あ、忘れずジェルミも立ち直らせてやってくれ。
 ・・・とはいえ、この不安定なイアンの綺麗なことといったら・・・。こういうイアンも魅力的・・・・。これ見れるんだったらもうちょっと逃避にばく進してもらってても・・・はっ、イカンイカンイカンイカン!それこそ個人の思惑だって。
 とどのつまりもっとも謎なのは、この「愛」というものなのである。

城野イラスト「riddle」

No.5 text:岸田志野 illustration:城野ふさみ keyword:小西優里 2000/7/22
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