【萩研◇超速攻・勝手に感想大会】
『バルバラ異界』
その5★エズラはどこへ消えた?

『月刊フラワーズ』2003年3月号(小学館)
31ページ・萩尾望都作品



2003/2/2 last update
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鼎談

出席者:卯月もよ、小西優里、天野章生
update:2003/2/1 (文中一部敬称略)

小西 : 今月号の印象は?
卯月 : 伊勢神宮がずいぶんでてくるなぁと。清掃奉仕…未来も続いているのか、とか。
小西 : (笑)
卯月 : 明美さんもよくわからない人…
小西 : 伊勢神宮には20年前に行ったきり。
卯月 : わたしは小学校の修学旅行のとき行ったかな…?30年前?
天野 : 伊勢神宮行ったことないな〜
卯月 : おお、死ぬまでに一度行かなきゃ「伊勢参り」!(笑) 伊勢といえば「赤福もち」だが、でてこないかな。
天野 : 「赤福もち」美味しいよね。
卯月 : おじいさんが飲んでいる酒に「おかげ」ってあるけど、あれは?
天野 : あれ気になったねえ「おかげ」!
卯月 : はっきり書いてあるんだもんねぇ。
天野 : 冗談かな?
小西 : 「おかげ」? どこ?
卯月 : 明美さんちに渡会さんが行くとこね。萩尾先生がお好きなブランドかな?
天野 : あるのかな、実際に〜。なんか絵として面白いよね。
卯月 : しかし、この家はすごーく純日本風なんだよね。未来世界になっても伊勢のあたりはそんなふうなのか…。
〈ここでネット検索中〉
小西 : 地酒でこの銘柄あるみたいね(笑)
天野 : 伊勢に「おかげ横丁」っていうのを発見。地酒もあるんだ? やっぱり。あははー。
卯月 : ところでアオバの顔、p138が印象的でしたね? あのあたりホラー漫画っぽくなってて。
小西 : p137の下の右端コマもいいねえ。
天野 : ベッドにのしかかってくるのとか、あんた貞か、みたいな(笑)
小西 : 思った思った(笑) あのさ、p138のアオバの顔アップ、エドガーな感じの描き方だね〜なんか懐かしいぞ〜。
天野 : なるほどー。私はp137の目の感じなんかは波津彬子っぽい気がしたんだよね。
小西 : そうだね、すごく今風な描き方を感じるね〜。その辺で波津的なものを連想するのかもなあ。
天野 : 今回の話、清水玲子の『秘密』なんかもインスパイアされてる?みたいな気がしたし、とことん漫画好きだから若い人の絵や話からもどんどん吸収してる気がするんだよねえ。
小西 : p138の下の大ゴマの構図も面白いよね。このスカートがさ〜。
天野 : 絵としても、ほんとにいろいろ構図や効果を考えておられるよねえ。
卯月 : 落ちてくる人形は、何かそういうの見たことがあるような気がしたんだけど…思い出せないけど…。でもこの赤頭巾ちゃんみたいのと男の子はいったい何…?
天野 : 怖かったねえ。これはバルバラのアオバとか男の子達かな?
卯月 : 落ちてきて「ぱしゃん!」って潰れていく感じがすごーくウマイなぁと思った。
小西 : トマトみたいにねえ。でもさ、あんまり血の色を感じないよね?
卯月 : キリヤのパジャマにはねているのは何色なんだろうね? 赤いんだろうか?
小西 : ベージュとか水色とか…色は無いような…
卯月 : ただの水分?
小西 : ん〜〜〜クリーム色系とか…アオバとキリヤが出会うシーンは全然色を感じないように描いてあるでしょ? …あ、でもキリヤのパジャマに染みた色はもっとそれよりは濃い。目が覚めてもやっぱり実在、って効果か。
天野 : 赤いのかな、と思ったけど、ベージュだと肉汁…? げげ!
小西 : 人形の肌色みたいな…でもべとべとしてなくて…でもねっとり?…これじゃ全然わからんって〜!!(笑)
天野 : 粘着質の感じはするけど血でもなく、でも単なる水滴でもなく、みたいな質感の染み、不思議。
小西 : しかし、バルバラ作品では落ちてくる物が多いね。バラとか血とか砂とかさ。
卯月 : そうか、アオバにもいろいろ降っていたよね。
天野 : 一方で浮遊してるんだねえ。ふわふわ〜っと。
小西 : 過去、萩尾作品では「浮遊」がメインだったのに、今回は物が落ちてくるのが多いっていうのはなんだか新鮮な感じがするよね(笑) でも、かたや竜巻で飛んで行っちゃったメジロさんとか…
天野 : 目白さん、早いよね。もう死んでしまった…。しかし、落ちてつぶれる感じ、何か見たことがある。
卯月 : 映画かなにかにあった?
天野 : いやわかんない。。具体的にはすぐ浮かばないんだけど。
小西 : 95年の『イマーゴ』の巖谷國士との対談で宮崎駿の『ラピュタ』が一番好きって二人が盛り上がってたんだけど、そこで巖谷があの作品は「縦の構図があってすごくいい」って言ってて。それを読んだとき、私はすんごく共感して。萩尾作品も「ちゃんと垂直に世界がある」でしょ。なんか今回それを思い出したな。
天野 : 垂直か〜!うーん。そういえば、ぐんにゃりつぶれる粘着質の感じって宮崎アニメ得意のパターンだよ。ぼとぼとっと落ちてぐにゃ〜〜ってつぶれたものが広がる絵って、『ナウシカ』でも『もののけ』でも『千と千尋』でもあるもんなあ。
卯月 : 『千と千尋』…ついこないだTVでやってたな…あ、「カオナシ」とか?
天野 : 腐れ神(じゃないんだけど)、ぼたぼたやってくるやつとか…ああいうの宮崎アニメは必ず入るんだよね(笑)
小西 : 宮崎駿のぼたぼたぼとぼとは一番最後の生理的なところは私は許せる感じだなあ。
天野 : 許せる?(笑)
小西 : 絶対イヤな質感、もうコレ見たくない〜っていうとこまではいかないのね(笑)
天野 : 萩尾先生の今回の、あの「ぐしゃ!」は?
小西 : あれは全然イヤじゃないな。
天野 : あ、そういう嫌悪感はないねえ。
小西 : そういえばさっき私、ねっとりぐにゃぐにゃとか言ってたけど、その質感で落ちてきて「パアン!」「パーン!」は無いよね(^^;)
卯月 : 「パーン!」だもん。水のはいった風船が割れるような感じをうけるね。
小西 : それそれ…でもさ、地面に当たってそんな風に飛び散るけど、盛り上がって残ってるでしょ?  p139のまんなかのコマとか。
卯月 : 残ってるね、うん。
天野 : 少年漫画、青年漫画だったら…
卯月 : ホラー漫画だったら「べしゃ!ぐしゃ!!」で血しぶきが「どぱ〜ん!」と飛ぶところですな。
天野 : 絵としてちょっと共通項があるかな? と思ったんだけど、ホラーのよくある表現とは違うね。
小西 : その粘着質に地面に残るところがベージュ色を思わせる(笑) 意味不明だなあ。
天野 : でも、初めて見た感じでもないでしょう〜? それが何なのか…さっきからひっかかって気持ち悪い〜〜。
卯月 : 割れると中身はわりとゲル状で…てんぷらの衣、ホットケーキミックス混ぜたくらいの粘度かなぁと。
小西 : そうねそんな感じね!
天野 : あ、なんか、てんぷらは分かりやすい!
小西 : パンケーキか?
卯月 : …げ。
小西 : パンケーキの種か?
天野 : パンケーキ!! それかー!?
卯月 : いや、それは…結び付けすぎ(^^;)
天野 : でも絵の雰囲気、あの粉に水を混ぜてどろっとした雰囲気そっくりよね。
小西 : お好み焼きとか。
卯月 : そうそう。だから小麦粉系を卵と水でのばしてまぜて…やっぱパンケーキじゃん…。
天野 : だからあんまり血の色が浮かばなかったんだね〜。どうも普通のホラーな表現じゃないもんね。
小西 : そのへんのぎりぎりの清潔感が「萩尾漫画」だよねー。汚くならないっていうかさ。
天野 : 肉や血が飛び散ってる風に想像しないから、ベージュ? みたいな色が浮かぶんだね。
小西 : なんか赤ずきんちゃん装束も、この絵の雰囲気は赤を想像しないよな。でも、男の子はブルーで、女の子は赤で、ツートンカラーで降ってきたらカワイイかも?
天野 : うーん(笑) パンケーキの人形…それも焼いてないからナマ(?)のを投げつけられてる絵なのかこれって??
小西 : キリヤをパンケーキで威嚇してるアオバ〜(笑) それって怖くないぞ〜。
卯月 : …今回これで終わり? エズラの話、しないの?
小西 : しない(笑)

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