【萩研◇超速攻・勝手に感想大会】
『バルバラ異界』
その3★公園で剣舞を舞ってはならない

『月刊フラワーズ』2002年12月号(小学館)
29ページ・萩尾望都作品



2002/10/31 last update
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座談会

出席者卯月もよ、小西優里、天野章生、岸田志野、城野ふさみ 
update:2002/10/31

卯月:今回は1話目2話目と全然違う雰囲気の3話目で…
小西:また違う漫画になってる、と思いましたよ。驚くよね(笑)
岸田:サブタイトルもちょっと変わってましたね(笑)
城野:いったいこの3話目で物語の何割進んだんでしょう〜?
岸田:もっと「バルバラ」のハナシ読みたいんだけどなあ、個人的には(笑)
城野:しかしこれからいきなり怒濤のように絡んでくるかもよ?
岸田:結構展開的には急いでいるというか速い、という印象でしたね。やっぱりそんなに長くはならないのかな?
天野:どこに向かってどう収束するのかなあ。
小西:単行本1冊で納める感じ? 普通なら1冊200ページ強。30ページで7回。約1年か〜。
卯月:今回29ページだよ〜もっと読みたい〜!
小西:しかし、今回の始まりは綺麗でしたねえ。
城野:剣舞? 最初誰だかわかんなかったよね。
天野:私はあそこはなんとなく『完全犯罪』思い出したんだけどね。誌上ミュージカル。
城野:あ、私は『海のアリア』思い出しちゃった。なんでだろう〜?
天野:音楽と舞。
城野:うーん、全体のまとまらない不安定さが『海のアリア』に似てるかなとも思うなあ。
小西:このいきなりの鶏はなんでしょうね?
天野:トリは『メッシュ』でも出てきた「不安」の象徴かな?
小西:なるほど。しかし今回、なんとなく伊勢色も強いよね。
城野:伊勢では鶏は神鶏だそうですよ。神の使いみたいですねー。
小西:ああ、そうなんだ? ふうん。
卯月:柱のコメントに「9/29に伊勢である招き猫祭りが去年楽しかった」って書いてあるけどそういうお祭りもあるの?
小西:いやすみません。私、三重県出身者ですが知りません(汗)
城野:伊勢関係、調べたいねー。色々絡んできそうだね〜。
天野:調べないと、ですねー。
卯月:そういえば、静音さんって『あぶない丘の家』のお姉さんに似てるよね。
城野:そうそう!
天野:私も思い出した!
卯月:茶奈とか菜々実とかの名前は…
小西:今っぽい名前なんだよね(笑)ここで初めて年代設定が明かされて驚く。
卯月:菜々実さんは2006年に34才だから1972年生まれ。
城野:私はあんまり年が違わないわけね。頑張れば渡会に会えるかも!?
天野:じゃ、私がその叔母さんくらい? 
卯月:菜々実さんより6才上。
天野:女性キャラでこういう夢見る少女のままの人って、絶対出てくるよね〜(笑) ところで「学習障害」って「バルバラ」での「字が読めない」につながってるのかな?
小西:ああ、つながってそうだねえ。
天野:「学習障害」とか「前世療法」とかね、萩尾先生の心理学の興味が作品に出てきてるなあ、というような気配を感じますねえ。脳のことなんかもね。
小西:心臓というのもすごーく、何かにかかってるよね? きっと。
天野:「前世療法」も少し調べてみたんだけど、その人に物語を与えることで癒す、みたいな感じかなという。
城野:キリヤのトラウマはいったいなんなのだろうねぇ。
卯月:キリヤといえば、彼が夢でバルバラに行ってる時の少年の姿、タカに…
岸田:タカと、渡会パパは会ってないんだっけ?
天野:会ってないよね。
卯月:渡会さんもバルバラでは外見が変わってたし…
天野:キリヤのお母さん、つまり渡会の奥さんのことが、まだあまり出てこないんだよなあ。あ、もしかして、タカのお母さんがそのまんまなのかな? 子供を産んだから女優ができなくなったという? それでいくとあの売れっ子の子役は、今回キリヤに絡んできた女の子かも。
小西:え、タカがキリヤなの? 話が見えてなかったよ。
岸田:いや、決まってない(笑)タカ=キリヤ
天野:いや、よく分からないけど、一応、そういう可能性なのかな〜〜??って。
岸田:じゃあ「バルバラ」はああいうちょっとワケあり(^^;の、子供とかの共有する夢、という可能性もあるのか…
天野:アクセスが重なって、こどもたちの共有する夢の島、なのかもね。架空なんだけど、幸福な、でも子どもが育ちにくい…
小西:でもって青羽はそこに幽閉されていると。
岸田:幽閉?
小西:ほら、前に言ってた「バルバラ伝説」。
天野:わあ、1回目読み返さないと!
城野:疑問だらけだねー。
岸田:あの島はある、んだよね?
卯月:島? 実在するってこと? しないんだよね?? いや、してたりして…
天野:キリヤが作ったんだよね、PCで。それをアオバが実像化してしまっている。
岸田:瀬戸内海に時々目撃される…ってハナシがあったよね。
天野:PCのバーチャルな島に、夢見る少女が夢の中でアクセスして実体化してると。PCのバーチャルな島だった、ってのは今回で分かったわけだけど、キリヤは最初から写真に感応していたし。そのへんのアクセス加減って『モザイク・ラセン』だね。
城野:キリヤが世界に手ごたえを感じなくなったのは3年前なんだよね?
卯月:そうそう。
城野:アオバは7年前から寝たきりなんだよね? だったら、キリヤが影響を受けたとも考えられるね。
卯月:そうだね〜
天野:あ、そうか。
城野:お父さんの能力と関係して、どうとにでもとれる伏線がいっぱいあって大変だよ〜〜
この線を全部手繰り寄せるのか?!

天野:キリヤのトラウマは誕生を母に喜ばれなかったとかなのかなと、ちょっと思ったんだけども。
小西:「安全な場所」っていうのがキーだよね。
城野:みんなの逃げ込み寺か?
卯月:エズラっていう人も関係ありそうだし…
天野:エズラって誰だっけ?
岸田:じいさん。
卯月:菜々実ばあさんの最初の夫で茶奈さんの実の父。
岸田:夢見るおねーさんと駆け落ちしたひと。
小西:エズラってどういう意味?
卯月:名前の意味まで探し出すと大変なことに…(笑)エズラ・パウンドからとったのかなと思ったんだけど。
小西:そのひと誰ですか?
岸田:人名…(笑)意味調べましょうか。
天野:人名は気になる(笑)
小西:エズラってどこの国の名前なの?
卯月:Ezra
小西:調べたぞ。ヘブライだ。
天野:ヘブライ〜〜!!
小西:[Hebrew] 聖書人名だって。男名。聖書だよ、ま〜た〜。『残酷』名前調べが甦るな。
岸田:ヘルプですね。ヘルパー。救助者。聖書の中では「預言者」なんだそーです、エズラ。
天野:預言者とはまた意味深なー!
卯月:20世紀のアメリカの詩人で…
天野:また詩もかあ…聖書と詩。
小西:うひょ〜!
岸田:ご神託を告げる人だな。
城野:未だ名前しか出ない人にここまで興味の持てるこの人↑たち…ちょっと笑ってしまったよ〜
小西・天野・岸田:(笑)
卯月:(聞いていない)…俳諧に影響を受けて自由詩を提唱した人らしいね…あ、話が終わってました? 調べたものをつい読んでしまった…
岸田:でも、皆が共有する=誰のものでもない、ということもいえて、あの島はいったいホントは誰の夢か?という興味はあるな。エズラが預言者なら神たる存在がいるということにもなる。
小西:あ、検索でこんなん見つけたよ。
(「エズラ・パウンド」で検索したページにあった詩を皆に見せる)

岸田:おお、その詩は「バルバラ」っぽい!
天野:え、いまの引用! すごい!! そのままですね!!
卯月:なにその詩・・・意味深すぎてやだなぁ^^;
岸田・天野:意味深すぎてやだなあ、って(笑)
卯月:いやだよ〜。私らが調べて「絶対なにかある!」とか言って、で、何もなく脇役のまま終わるんだよ〜〜〜
小西:何もそこまで言わんでも。
岸田:わはは(笑)
小西:いやあ、絶対なにかあるぞ!!
天野:あるだろー、ここまでかぶってたら〜〜
城野:イヤイヤ、萩尾先生だから〜ないかもよ(笑)
岸田:ないのもアリだね(笑)
天野:いや〜〜ん、そんなあ〜っ(ってまだ名前だけなんだよな)
卯月:ないのもありだよ〜
城野:想像できる範囲では展開しないという〜
岸田:イメージだけもらっているという可能性はあり。
卯月:まぁエズラさんは製薬会社の研究員で医学者らしいから、何か作ったかもよ、変な薬を。
天野:変な薬!?
岸田:それはヤバい(笑)
天野:それは『マージナル』っぽいな。
城野:今の時点で繋がったのはアオバとキリヤだけだけど、今後バルバラとどう繋がって行くのかしらね〜?
卯月:しかし、この感じで一ヶ月おきだと結構つらい…
小西:次が待てないよね。謎が多すぎるよね。まあいつもなんだけどさあ。
城野:でも、先生には隔月がちょうど良いペースなのかも〜
小西:あう…まあウチも次の座談会は二ヶ月後ってことでちょうど良い感じなのでは?
卯月:え? 次って二ヶ月後ですか? 続くんですね感想大会も? 永遠に?
小西:へへへ。また次の時考えましょか。では、このへんで〜
一同:お疲れさまでした!!

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