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 白ばら、アマリリス、赤カブの花、パンジー、チューリップ、深紅のクリムソン・グローリー。
 女の子に花飾り、チョコレートケーキに合唱と寸劇。窓を開けて風を入れて、さあ、萩尾望都の五月。
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作品紹介を担当するのは
 卯月もよ  小西優里  天野章生  岸田志野  城野ふさみ


すてきな魔法
萩尾望都

[初出]1969年
『なかよし』9月増刊号
*書影は所収本



 特に明記はないですが、緑溢れる風景はまさに5月の趣。萩尾望都デビュー二作目、カードマジックをキーワードに、ミュージカル調で繰り広げられる不思議でキュートなラブコメです。個人的に今「手品の上手い男の子」がマイブームなので、久々読んだらまさに激ツボ。ちょっと生意気で失礼なヤツだと思っても、キメるときにはキメてくれる男子には、女子としてはキュンとなるってものなのです! 5月は恋の季節、命短し恋せよオトメ!

ケーキ ケーキ ケーキ
萩尾望都(原作・一ノ木アヤ)

[初出]1970年
『なかよし』9・10月号別冊付録
*書影は所収本




 かわいいお菓子をテーマにした軽いコメディかと思わせて、次第にリアルな職業モノの様相を呈してくるこの作品。コンプレックスを力に変えて、情熱ひとつでどんな困難にも負けずとケーキ職人への道を突き進む主人公カナ。何かを好きだと思う気持ちは、こんなにも人を強くするということを、この作品は今もって教えてくれます。何かと挫折を感じる季節でもある5月、この作品を読めば、きっともう一度頑張る気力が湧いてきます!!


千の矢(メッシュ8)
萩尾望都

[初出]1982年
『プチフラワー』7月号
*書影は所収本



 季節は花と緑の4月から5月の雰囲気。天使の絵が描きたいというマザコン気味の画家・エトゥアールとメッシュの掛け合いがかなりおかしい。マーレの元・恋人を誘惑してみろと言われて、天使の姿で悪乗りするメッシュににょきっと悪魔の角が生えるシーンに大受けしたっけ。コミカルなのに過去と現在が一気に重なって、顔にある星型の傷の謎が解ける構成の見事さときたら! ラストは意味なくみんなにふわふわ天使の輪っかでほんわか?

君は美しい瞳
萩尾望都

[初出]1985年
『ASUKA』8月号(創刊号)
*書影は所収本(表紙:波津彬子)




 万華鏡の瞳を持った夢鳥の住む環境に合わせた緑いっぱいの背景だから、というこじつけで無理やり5月のお薦めに。でも話はたいそう重たい。悪ぶってるくせにピュアでナイーブなハプトが読んでいて切ないのよ。自らの深層に潜む深い闇に堪えられないメールデールの追い込まれ方が半端じゃない。聖と俗の両極に見える二人が実は相似なのだという、人間の心理を深く考えさせられる作品。新しい目で世界を見たら世界はどう変わるのだろう。


ハーバル・ビューティ
萩尾望都

[初出]1984年
『ぶ〜け』10月号
*書影は所収本



 作品全体にルゥの香りが甘酸っぱく広がるようなそんな印象的な作品。天然でかわいらしいルゥと自らのアイデンティティの間で揺れ動くネオ船長のやり取りがほほえましい。SF設定もライトなコメディも大好きだし、天然美少年も大好き! 私の好みって、フロルとかタクトとかルゥとか? わかりやすっ! えーと5月? ほら春っぽくないですかね? ハーブとか革命設定とか…orz

すきとおった銀の髪
(ポー・シリーズ1)

萩尾望都

[初出]1972年
『別冊少女コミック』3月号
*書影は所収本




 ポーの一族って、シリーズ全体を通して5月なイメージがあります。やっぱりばらの花が印象的だからでしょうか? 中でも第一作目の本作は少年ののびやかな屈託のない様子含めて新緑が薫ってきそう。相反するようにダークで冷ややかな雰囲気を醸し出すエドガー。萩尾の5月は明るいだけではなく影が色濃く潜む印象です。


オーマイ ケセィラ セラ
萩尾望都

[初出]1973年
『週刊少女コミック』21号

*書影は所収本



 5月ならやっぱりこの作品! と、すぐ季節と結びつけるのは、コミックスがないため雑誌に載る新作を待ち、季節感重視の掲載作を延々と読み返していた世代に多いらしい。だから強烈に「いつ読んだか」が刷り込まれてるというわけ。この「ケセィラ」は「小鳥の巣」連載中の発表で、まさに5月。縦ロールの髪揺らしてセィラが走ったり踊ったり、ラストの海を見下ろす高台の公園、逆光の二人の情景にいたっては、ああ、5月だわ! 春よ初夏よバンザイ! 一編のロマンチック映画みたいなこの作品、ホント愛してます!

ハワードさんの新聞広告
萩尾望都(原作・イケダイクミ)

[初出]1974年
『別冊少女コミック』3月号
*書影は所収本




 「ハワードさん」といえば、飛ぶ子ども。そして、傲慢なお金持ちの態度が無垢な子どもとの出会いで変化するという、春にぴったりのハートフルな物語。イギリスに半年語学留学していた萩尾先生の帰国後第一作で、これから「トーマの心臓」含む、怒濤の74年作品群の発表が始まります。当時の私も待って待って待ち続けた新作にようやく出会えて、まさにジルとともに空へ飛ぶ気分! それにしても「カラナシ(カリンツ)はじきに赤いよ」のところ、構図といいネームといい、これぞまさに極上萩尾タッチでここだけでも泣けます私。


ドアの中のわたしのむすこ
萩尾望都

[初出]1972年
『別冊少女コミック』4月号
*書影は所収本



 この時期の絵柄、大好きです。精霊たちが湧いて出るごたごたしたコメディなシーンも、なにげに挟まれてるシリアスなシーンも、ダーナの恋人イカルス(モデルは謎の「アキヤマ」さん!)も、かっこいい。お腹のベビーが自分で勝手にドアを開けて外に出てくるってのも、考えてみると、命の本質を表してるようで深い…気がします。ちなみにダーナのモデル・萩尾センセは5月12日生まれ。おめでとうございます♪

みんなでお茶を
萩尾望都

[初出]1974年
『別冊少女コミック』4月号
*書影は所収本




 前作からちょうど2年後に発表されたダーナとイカルス一家の2年後のお話。特筆すべきはナンセンス博士(モデルは山本編集長かも?)の新しい助手を「オスカー」が演じていること。とんぼメガネを外すとイケメンなオスカーが出現しファンには嬉しい作品だったけど、残念ながらシリーズ4作目が描かれることはなく、ダーナたちとも二度と会えないままだ。目をさましたルトルが成長してチャシーと一緒に事件を起こすに違いないのに、読みたかったなぁ。

- 次回は8月に更新の予定です -
 

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