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2008年12月24日更新 

  「クリスマスは?」「ロンドンで」……こんなふうに言ってみたいと思いながら、もう何年が過ぎたでしょう。
  雪の降るはるかな国にもメリークリスマス、そしてハッピーニューイヤー! あなたは新しい年を、どこで誰と迎えますか?
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ヤマダトモコ
 卯月もよ  小西優里  天野章生  岸田志野  城野ふさみ


セーラ・ヒルの聖夜
萩尾望都

[初出]1971年
『週刊少女コミック』冬の増刊号



 主人公の少年少女と同い年だった。長いクリスマス休暇、丘の果樹園で陣取り合戦、さばけたおばあちゃん、吹き抜けの大きなツリー、おだやかな神父さん、聖歌隊の練習、教会に集まる人々。ああ、イギリスではこんなクリスマス、こんな冬休み、こんな親子関係なのかなって。フードを被った二人がそっくりで、育ての親達が間違えてしまうエピソードは、直前作「11月のギムナジウム」にもあったけれど、印象強すぎ。私にもどこかに双子の片割れがいて、いつか巡り会う、って憧れた。いなかったけど。

訪問者
萩尾望都

[初出]1980年
『プチフラワー』春の号




 大好きなオスカーの話なのに、読み返すたびに大泣きしてしまうので、滅多に読み返すことの無い一冊です。子供の目線、大人の目線どっちで読んでも切なく苦しくなります。泣きポイントに付箋を貼っていっこいっこ理由を挙げていったらきっと自分のオスカー好きぶりに呆れられる…とおもいます。はじめっから最後まで泣きっぱなしで目が真っ赤です。心の余裕のある時にそっと取り出す大切な一作。彼はクリスマスをどんな風に過ごすのだろうと想像しながら、トーマを読み返してまた大泣き…そういう年末年始もありですよね?


完全犯罪〈フェアリー〉
萩尾望都

[初出]1988年
『プチフラワー』2月号〜3月号



 赤と緑なんてクリスマスっぽい! けど、ここでは殺害現場に落ちていた血の付いた緑の手袋です…。私たち読者は、生きている花夜子に会うことは出来ないけれど、彼女の純情と一途さが胸に迫る作品、が、個人的にこの作品は、小物の使い方が好き! 緑の手袋を始めマリーゴールド、緑の傘、黒いレインコート、警察に問いつめられる類のタオルの使い方とか、妖子のリボンも場面場面で効果的。刑事サンのトンボ眼鏡もいい感じ! そして最後は、花夜子の想いが届いていたら良いな…と、切なくなれますヨ。

狂おしい月星
萩尾望都

[初出]1992年
『プチフラワー』3月号
*書影は所収本




 レヴィとアーチー、彼らの間を繋いでいるのは友情ではなく、自らの存在理由を証したいという切実な自己表現への共感。夢を追い求める情熱を分かち合っているようで、苦しみに互いを追い込んで、結果傷つけ合ってしまう彼ら。クリスマスイヴが誕生日のレヴィ、それは苦悩を背負う暗喩か、それとも…? そんなことを想う聖なる夜というのも味わい深いのではないでしょうか。We wish you a Merry Christmas。すべての人に幸いあれ!


山羊の羊の駱駝の
大島弓子

[初出]1988年
『ASUKA』1月号
*書影は所収本



 最近、幼い頃保健所行きになった犬の死を殺人の動機だとした事件がありました。殺人はダメだけど、子どもの頃そばにいた犬の人為的な死は、ずっと心の重しになる場合もあろうということが、20年以上前に描かれた、この大島作品から伝わってきます。クリスマス間近の街で「天使」に出会う雪子。その出会いは、幼い頃処分された犬のジロの気持ちになって、夕方、毎日街を徘徊していたことからやってくるのです。ロマンティックな救いを求めると少し違うけれど、聖夜に読むにふさわしい大切なことが描かれた作品です。

神が喜びを下さるように
坂田靖子

[初出]1983年
『デュオ』1月号
*書影は所収本




 向こうのクリスマスってホントに特別の夜なんだろうな。みんながわくわくして仕事にならない会社の風景、誰も待つ人のない部屋に帰るペインの侘しさ。雪道で拾った男の子に行きがかりでおもちゃやら洋服ワンセット買ってあげたら給料飛んじゃうという現実感。資産家の恋人と小さな小人になってからのハラハラドキドキの冒険も素直になった二人が見上げる夜空もロマンティック! この読後感の良さはクリスマスの夜にお薦めの逸品です!


スター・ローズ
坂田靖子

[初出]1978年
『月刊ララ』11月号

*書影は所収本



 いつもいつもろくでもない結果にしかならない5人組だが、この話はけっこういいのだ。5人がバイトしてることを知りながら、ホントは止しておきたいところを「教育のためだ」とその店で発注する校長は実にけなげ。でっかいツリーが見る見る小さくなっていくいつものドタバタも大笑いだが、最後に見事な大逆転。校長の想像した通りツリーは届かなかったが、丹精したご自慢のバラが雪で飾られたツリーのスターになって、庭に咲き誇る。痛快のクリスマスストーリー。

S(SARNIN)
三原順

[初出]1976年
『花とゆめ』24号
*書影は所収本




 はみだしっ子シリーズでクリスマスといえば第一話「われらはみだしっ子」のラスト、自分達を愛してくれる“恋人”を求めて雪の中4人で死にかけた話がまずは真っ先に思い浮かぶのだが、いやいやこんな可愛い話もあった。いつもいつも重い展開ばかりの本編に対してバランスを取るようにコミカルな話が多かった番外編。“笑った事がない”キリストの誕生日なんてどうでもよい、大好きな人のことの方が大事。クリスマスなんて、けっ! って方にお薦めのショート。


NOEL!-ノエル
竹宮恵子

[初出]1975年
『別冊少女コミック』11月号〜12月号
*書影は所収本



 たとえ病気になっても友人達の親切は受けず、あくまで突っ張る孤高の少年サギ師タグ。熱に浮かされて思い出す、心の奥に封じ込めていた大切な記憶……二年前、ノエルと名乗る寂しい少女とすごしたクリスマス、そしてノエルの継母マルレーヌに抱いた甘やかな感情。子供のくせに弱い部分をひた隠しにするタグが痛々しい。ロマンチックな奇跡の訪れるクリスマスのパリ、冷たい冬の空気とホットな下町の喧噪が入り交じる“ミュージカル”(←そこは忘れずに!)です。

ヴィクトール街31番
水野英子

[初出]1976年
『花とゆめ』4号
*書影は初出掲載誌




 昔ながらの地べたに建つ雑貨屋さん。街の人の生活を支えてきた、おじいさんの小さなお店。でも、時代が移って高速道路が、高層ビルが、デパートが、その存在を脅かす。娘夫婦は店をたたんで一緒に住もうと誘うけど、孫娘ベルには、おじいさんの店は素敵な宝の倉に思えます。……この話の流れ、まったく今年の大阪府のよう。でも水野英子が描いたのは、やさしさは受け継がれるということ。初雪の日からクリスマスまで、雪の中でも家にはあたたかな灯がともるのです。


ミス・ブロディの青春
さべあのま

[初出]1985年
『別冊LaLa』1月号、3月号
*書影は所収本



 初めて読んだのは単行本『SABEA BRAND』でか、『懐かしい贈りもの』か…どっちにしても、たぶん私はまだ独身で「ミス・ブロディ」と同じくらいの年齢だった。けっこう気恥ずかしいベタな恋愛ものだけど、読み進むうちに照れなんかどんどん捨てられる、これぞ王道少女漫画。さべあのバタくさい語り口は、懐かしい、まさに古き良きアメリカ映画。“今年も最初に会う人が あなたであるように はやくはやく”って、この新年のデートの見開きが良かったんだよなあ〜!

ガラスの仮面
美内すずえ

[初出]1976年『花とゆめ』新年1号〜不定期連載中




 少女マンガ史が誇るあの怪物…もとい天才女優・北島マヤが覚醒したのは、大晦日の夜。あの「年越しソバ・年内に配達できたらチケットゲット!」対決がなければ、伝説は始まらなかったのです!! 狂おしく待ち続けた連載再開、そして来年1月26日には待望の新刊43巻も発売。ココは一発、また再びのレジェンドの誕生がそこにあることを祈りつつ、年越しソバをすすりつつ、新しいキモチで新しい年を迎えようではありませんか、皆様!


謹賀新年
坂田靖子

[初出]1986年
『コミックトム』1月号
*書影は所収本



 年末に忙しく駆け回る松岡さんはいわば執事さんとか番頭さんのような人で大変な苦労人。飄々とした坊ちゃんと好対照なのだけど、この坊ちゃんも要所ではさりげなく松岡さんを助けてしまう。忽然と現れて消えた童子二人が再び掛け軸の中で戻ってくるというラストは大変におめでたく、慌しさが抜けてさっぱりした年明けに「いい年になりそうだ」と気持ち新たかに庭を眺めるラストは年末年始に読むのにお薦めの逸品。女中さん達が食べるお餅がともかく旨そう!

ノン・レガート
大島弓子

[初出]1985年
『デュオ』 3月号
*書影は所収本




 年頭で始まって、翌年の年頭で終わる「ノン・レガート」は、大島作品のなかでは至って地味な作品だけれども、私の読み返し率でいえばかなり高順位。そこでの彼女の生活が、一時期私の夢の生活だったからかも。高額宝くじに当たったというのに厄をびっしりつけているマンガ家志望の主人公が、老人ばかりの高級マンションでコマツカイの小松菜さんとなるハメに陥るも、老人との交流を通して、次の年にはその厄から脱却してしまう。小松菜さんが厄を落とせる理由は、単純だけどとっても大事なので、ぜひ自分で確認してみて。

今年も図書の家にお越しいただき、ありがとうございました。みなさま、良いお年をお迎えください。

 

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