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 手に取ったが最後、引き込まれ逃れられない萩尾ワールド。気付いた時にはもう遅い、行ったきりなら幸せになれ!
 今回のテーマは『Strange』。読み終わった後には見慣れたはずの街並みが、見知らぬ場所に見えてくるかも?
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ポーチで少女が小犬と
萩尾望都

[初出]1971年
『COM』1月号
*書影は所収本




 異端を認めず、抹消することで均衡を保っているこの世界。あどけない少女とありふれた小犬を使っているためにいっそう不気味さを感じさせる12ページの小品です。同人誌用に描いたんじゃないのかな?と思える短さとシンプルな画面。私は中学生の時『週刊少女コミック』で読んだのだけど『COM』初出と知ってなんかカッコイーと納得でした。


精霊狩り
萩尾望都

[初出]1971年
『別冊少女コミック』7月号




 
扉イラストはシリアスで黒っぽいけど、これはコメディです! ダーナのこのヘアスタイル、注目ですね! 真似しましたよね? あの人とかあの人とか出演してますよ、脇役に。そしてなんと言っても緩急あるコマ運び、テンポの良さは最高級!“突然ミュージカル”にもすんなり乗せられて最後はどんでん返しで大円団? しゃれてて皮肉で可愛いくて。楽しいったらありゃしない☆ 。




ぼくの地下室へおいで
原作:レイ・ブラッドベリ
萩尾望都


[初出]1978年
『週刊マーガレット』18号



 同じなようで同じじゃない。変じゃないのに何かがおかしい。未だに、ふとした時に思い出されてはゾクッと背筋が寒くなるこの短編。大体「目に見えない何かが、世界をいつの間にか侵略している」なんて、対処のしようがないじゃないか! とはいえ、今まで当たり前に信じてたものが実は…なんて今のご時世よくある話。あんなニュースもこんな事件も、今この世界にとっての“マラスミウスオレアデス”なのかも…とか、自分で書いてて超怖い(T-T)。


集会
原作:レイ・ブラッドベリ
萩尾望都


[初出]1978年
『週刊マーガレット』32号




 一族の中で、ひとり異質なティモシー。孤独は深く、死の影が彼の存在をさらに儚くする。けれど読み進むにつれ胸に迫るのは、むしろ魔物達の絶望のほう。いくら宴に興じても瞬く間に朝の光は訪れ、彼らにとって「死んでいる世界」にまた戻っていかねばならない。「一番少ない生き方をするものが、一番豊かに生きることになる」。ティモシーを慰めるエリー伯父のこのセリフは、Strangeな存在のティモシーには優しく、悠久を生きる魔物達には哀しい。

イグアナの娘
萩尾望都

[初出]1991年
『プチフラワー』11月号



 母親と本人にだけ醜いイグアナの姿に見えるという思い切った表現は衝撃的で、それでもどこかユーモラスで救いがあった。可愛がられてばかりいた妹が客観的な事実を初めて認識し、母親と姉の間に立って庇い始めるのにはちょっとほっとした。牛にみえる彼氏ができた時はさらにほっとした。苦しいのは子を愛せない親なのか、親に愛されない子どもなのか。親と子の確執を繰り返し描いてきた作者が一回り成長した大人の視点で、一つの救いに辿りついたのだと思う。・・・親の側が変わることはないのだけども。

あぶないアズ兄ちゃん
(あぶない丘の家)

萩尾望都

[初出]1992年
『ASUKA増刊ファンタジーDX』夏の号,秋の号




 どうやら人間ではないらしいアズ兄ちゃんが素直で可愛いマヒコに隙あればキスしたりしてからかって遊ぶのが楽しい。『残酷な神が支配する』を描きながらこれをお描きになっていたのか、と思うとこの軽さはバランスだったのかな、とも思ったり。長毛種の猫・エリザベスも大活躍だが先生の愛猫がモデル?とも思ったり。不思議なことがバタバタと続く中で、結局は一番怪しいのはアズ兄ちゃん。彼の存在こそまさにストレンジ!

モザイク・ラセン
萩尾望都

[初出]1982年
『プリンセス』9月号〜12月号



 なんでこんなにこの話を気に入っているのか、自分でも謎なのです。美羅に感情移入しやすいのかな? 自分に超能力があったら! 素敵な男の子と仲良くなりたい! 異世界のヒーロー! ふふふ、N○Kの少年ドラマシリーズみたいじゃないですか? スーパーマンに憧れる様に美羅に憧れちゃうんです〜素敵な王子様を待つのではなく異世界まで助けに行くんですよ! これまた可愛いんだラドリv

キャベツ畑の遺産相続人
萩尾望都

[初出]1973年
『週刊少女コミック』15号




 不思議不思議なお話。何となくほろりとしたり、好きだなーって自分に素直になれる世界。ファンタジーってそう言うところがありませんか? 肩肘はって型にはまって身構えて、そう言う自分をほっぽり出して自由に空想の世界にダイブできる。だからこういうフワフワキャベツが浮いているような、それでいてこっそりリアルが垣間見える世界をこよなく愛しちゃっているんです。あの三人はそれぞれが自分の分身なのかもね。


びっくり箱
原作:レイ・ブラッドベリ
萩尾望都


[初出]1978年
『週刊マーガレット』26号



 建物の中をぐるっと円形にめぐる階段を内包した塔の家。12才の主人公には、まだ100も未知の部屋があるという……まさに不思議空間!! 彼女が禁断のドアを開けるドキドキ感と、新しい世界を知る驚きと喜びを見て! しかしこれってブラッドベリの原作とはかなり舞台や設定も違った覚えが。原作の再読かなわずハッキリ言えませんが、元の話にしばられずに軽々と翻案・昇華する萩尾センセの脳内変換機能が一番奇妙で素敵かも。
ポーの一族 1 (1) (フラワーコミックススペシャル 萩尾望都パーフェクトセレクション 6)

ホームズの帽子
(ポーの一族)
萩尾望都

[初出]1975年
『別冊少女コミック』11月号
*書影は発売中のセレクション/ポー1巻




 第二期ポーのキーパーソンであるオービンが初めてエドガーと出会う。魔物や妖精、奇妙で謎の多いものを愛し伝えるロンドンを舞台に、コナン・ドイル風味のオカルトな味わいがたっぷり。降霊術でメリーベルを呼び出すくだりでは、エドガーの胸の思いを読者は一瞬で共有する。コミカルなシーンの連続でさらっと読めるけれど、ふと気づけば目の前に広がる漆黒の闇……この転換の妙こそが萩尾漫画。パーフェクトセレクションのポー2巻でどうぞ。



作品紹介を担当するのは
 卯月もよ  小西優里  天野章生  岸田志野  城野ふさみ

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