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 日々の折々、図書の家研究員がおすすめ漫画をナビゲート。今回は「DOLL(人形)」をテーマにセレクトしてみました。
 大好きなお人形が動いて話してくれたら、嬉しい? 楽しい? …怖い? 人形達に命を与えるのはいつでも私達の自由な想像力です!
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バルバラ異界
萩尾望都

[初出]2002年
『月刊flowers』9月号〜2005年8月号




 キリヤの夢にアオバが現れた時、人形たちは降って来た。幼いアオバの姿をした人形が爆弾のように次々と、キリヤ目掛けて落ちて、地面にぶつかって潰れた。熟れた果物のように。お人形は魂の宿る存在として怖い話の小道具にはよく使われるけど、赤頭巾ちゃんタイプの人形が頭から潰れてく図は不気味で、「恐怖の人形漫画ベスト10」があったら私は投票する。秋葉原の人形屋で夢と同じ人形をオーダーしたロボット人形、なぜだかこっちはかわいいんです〜。歩いたりしゃべったりするの。これ欲しいなぁ。


リデル・森の中
(ポーの一族)

萩尾望都

[初出]1975年
『別冊少女コミック』6月号




 
エドガーが余りにもさらりと「リデル人形」って言うから、英国には慣用句が? もしやマザーグース? と詳しい方に聞いてみたが違うらしい。じゃあ西洋人形とか市松人形とか? なんてブツブツ言ってたらあっさり「リカちゃん人形じゃない?」って。ああそーかバービー人形とかね! でもリデル人形って洒落てるし印象的、さすが萩尾台詞! って思ってたら「エドガー意外と少女趣味だね」とバッサリ言われ。まあそういう視点もあるわなあ。



観用少女
川原由美子

[初出]1992年
『眠れぬ夜の奇妙な話』VOL.10〜94年VOL.18、『ネムキ』94年VOL.20〜2001年1月号、単行本書き下ろし



 フリルのついたドレスに可愛い顔。いつの日もお人形遊びは少女達の憧れの世界。髪を撫で、服を調え、ミルクをあげて…。極上のお人形がもしホントにミルクを飲んでくれて、そしてにっこりと微笑んでくれたら…! この作品ではその憧れが実現する。ただし、近未来の胡散臭いお店で暴利を貪られながら、というリアリティ付で。生身の美少女と見まごうお人形を欲しがる人たちの動機はさまざま。甘いだけの世界じゃない、大人のファンタジー。

振袖いちま
須藤真澄

[初出]1990年
『月刊MOE』11月号、91年〜92年『コミック・モエ』、92年〜95年『コミック Fantasy』No.14、単行本書き下ろし




 どこか昔懐かしいような香りがする作風。お人形が少女に変身して動いて喋る、という話は目新しいものではないがこの作家ならではの間の抜けた可笑しみがあるのがミソ。物置に放り込まれていた祖母の形見の古い人形。祖母を「お友達」と呼び、なにかれと主人公のゆきと比較しては皮肉を言う様は小憎たらしい。我儘放題、やりたい放題、だけどやっぱり憎めないし、可愛い。忙しい時に読むとほっと和める逸品です。


シャーリー
森薫

[初出]2000年、2001年
『Shirley Medison』全2巻
*初出は同人誌



 第二話「リトル・マリー」は、お人形を買ってあげるだけのお話。なのになんだかほんわりした気持ちになります。内向的なシャーリーは人形を貰っても反応がいまいち、そんなシャーリーの様子をうかがってがっかりしたり喜んだりするベネットさん。二人の様子を覗き見ているような気分でお話を追ってしまいます。おとなしくて年不相応にしっかりしたシャーリーが年相応の女の子の顔を見せる瞬間に、読者としてはきゅんきゅんです〜。

オーバーマンキングゲイナー
原作:富野由悠季
作画:中村嘉宏都


[初出]2002年
『コミックフラッパー』6月号〜




 アニメの漫画化です。キャラデザの中村氏の作画ですので何の違和感もないのですよ〜。アニメで勢い流しちゃったような情報もきちんと入ってくる良作。ロボットというより着ぐるみっぽいオーバーマン(と言うロボット)。ロボットアニメの漫画化なのにストーリーや設定の巧妙さと漫画の巧みさについつい引き込まれてしまいます。イカした台詞まわしににもしびれるのよねー。まぁ、なかなか新刊がでないのがなんなんですけど^^;


エリカ赤いつむじ風
美内すずえ

[初出]1976年
『月刊mimi』2月号
*書影は所収本



 天涯孤独の少女にあるのは天賦の詐欺の才能だけ。頭と腕だけで汚い大人を出し抜いて金をかっぱぐ。もう設定聞いただけで読みたくなるですよ、そんなマンガ! 続編のこの作品、美しい博多人形を巡ってハラハラドキドキ善悪入り乱れての腹黒知恵比べ、見事なオチには唸るのみ。コンゲームはエンタメの王道ですが、ヒトはどうして詐欺の話にこんなに萌えるのだろう…。本来の復讐は済まぬままなので、続きを20年待っている私です。

BOOM TOWN
内田美奈子

[初出]1992年
『コミックガンマ』 冬〜96年




 今作の連載開始は14年前。この漫画を愛読していた身としては、Second LifeもBOOM TOWN並みに“自分が入り込む”感覚まで再現できないと萌えられないすよ。街に住まうお人形「xyz-People」達は、自立した思考・行動をし、感情をともなって恋愛さえもする。人間みたい、だけど人間じゃない。そんなお約束のロボット悲哀ドラマもあり。仮想現実で本当のリアルを探す人間達の滑稽さすらも予見した、早すぎた近未来ヒューマンSF。今こそ連載再開の時ですよ絶対!! いっそCGアニメ化とか!!


パーマン
藤子・F・不二雄

[初出]1966年
『小学三年生』12月号〜68年8月号、他に複数の雑誌に連載。第2期は1983年〜86年



 人形といえばコピーロボット! 半ズボン少年のミツ夫くんがパーマンになる間、そっくりに変身して留守を守る役目です。記憶もコピーされるので、以心伝心な相棒かつ双子の兄弟みたいな関係。時々デク人形に戻ってしまいヒヤヒヤさせられるのもご愛敬。そんなコピーを含め非力な部分をチーム内で助け合い、泣ける話も多数あります。特に60年代連載の方が等身バランスもおちゃめで可愛い。今思えばこれが私のショタ愛の目覚めだったか。

ホフマン物語
水野英子

[初出]1976年
『月刊セブンティーン』7、8月号




 お人形を描いた漫画はたくさんあれど、70年代後期の水野英子の画風で描く人形はあまりに美しく冷たく幻想的。コマ割りをとりはらった画面いっぱいのパノラマな演出に、豪奢なドレスの裾を翻して踊る人形オリンピア。その美に人形と知らずに恋に落ちる主人公ホフマンととともに思わず見入ってしまう。今まであまり関連づけて考えたことがなかったけれど、同年に始まったバレエ漫画『SWAN』の華麗さと並べて語られるべきかも?



キララのキ
岩館真理子

[初出]1996年
『ヤングユー』9月号〜98年9月号まで不定期連載、単行本加筆



 全4巻だけど3巻までが好き。可愛くて屈折した女の子たちと美しくて過去のある女の人たち、それに不思議なお人形がいっぱい出てくる。お人形が等身大だったり動いたりするせいで、人間なのか人形なのかわからなくなって混乱させられるところへきて、十秋も子どもの頃の記憶にあいまいさがあるし、お母さんは記憶が欠落してるし、お父さんまで秘密にしてることがあるしで……。すっきり解読した方がいらしたら連絡ください。お話しましょう!

天使みたい
山下和美

[初出]1999年
『ヤングユー』9月号〜10月号
*書影は所収本




 「はるか」の双子の姉妹「かなた」はスイッチを切るとただの人形になってしまう。ホンモノのかなたは死んでるのに、IQ高すぎる両親にロボットの姉妹を与えられてしまった生きているはるかの思いは複雑だ。複雑すぎてはるかは思いを外に出さない子になってしまった。でも、自分の体と記憶をなぞっているはずの「かなた」は違う。双子テーマにつきものの姉妹への愛情と自己確立の葛藤、それに親の問題や、ロボットのかなたの「思い」も重なった切なくてきれいなお話です。


作品紹介を担当するのは
 卯月もよ  小西優里  天野章生  岸田志野  城野ふさみ

●書影はamazonアソシエイトプログラムbk1ブリーダープログラムを参照、または、所蔵本を撮影しています。

 
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