HOME萩尾望都研究室少女漫画研究室展示室BBS中庭
サイト内検索 AND OR
日々の折々、図書の家研究員がおすすめ漫画をナビゲート。今回は「『ベルばら』以前の少女漫画」をテーマにセレクトしてみました。
少女の夢も憧れも、不幸も幸福も、可愛く甘い絵の中に。今につながるみずみずしいエッセンスがたっぷりと詰まっています。
過去INDEX] 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25  26

作家INDEX] dataアイコンをクリックすると作品の詳細データがわかります。



クールキャット
萩尾望都

[初出]1970年
『なかよし』2月号



 この小品をリアルタイムで読んだ記憶のある人がけっこう多い。私もその一人。『なかよし』の本誌に掲載されてたことに加え、インパクトある作品だったからでしょうね。かわいらしい絵柄のどたばたコメディと見せかけて、実はダークなSFなのだ。なんせクールキャットの正体は宇宙人かミュータント、ネリーブライス一家を手始めに人間界を乗っ取ろうって魂胆なのさ! この作品にピンと来た子は、作者の野望を感じとったのね、きっと。

秋の旅
萩尾望都

[初出]1971年
『別冊少女コミック』10月号




 
ドイツの風景の中、汽車が走る。少年の手には小振りのトランク。少し緊張した面もちでたどり着いた家には咲き誇る秋バラ。手入れをしていた中年の男性が、少年の敬愛する作家だった。頬をなで髪を揺らして吹く風。遠い空。汽笛が終わりを告げる秋の旅。説明がないのに心に響く、これは何なのか。全て描かないからこそ雄弁なのだと知るのはもう少し後のこと。魅入られたように扉に記された「萩尾望都」の名を覚えた、この一作。



マキの口笛
牧美也子

[初出]1960年
『りぼん』9月号〜63年4月号



 牧美也子といえばメーテルのモデルで「悪女聖書」の人。そう思ってた私を猛省させた一作。マキは可愛い。表情も仕草も喋り方も髪型もお洋服も、すべてがとにかく可愛い、相対的でなく絶対的に。お涙頂戴母子物の典型なのに、マキは「可哀想」じゃなくて「可愛い」んだ、ここ大事!媚びもあざとさもない「可愛い」をこうまで品良く描ききれる作家がどれだけいるだろうか? バレエシーンも本格的で、全編満ちるハイクオリティに驚嘆。

美人はいかが?
忠津陽子

[初出]1970年
『週刊マーガレット』28号〜71年20号




 幼少期、なぜか1巻だけが家にあり、ボロボロになるまで読み込んだ想い出深いこの作品。30年の時を経て初めて最後まで読めて嬉しかったよ! 恋にお洒落に全力投球、泣いて笑って喧嘩して。軽妙洒脱なラブコメに「出生の秘密」も絡んで、ぐいぐい読ませるストーリー。お役立ちお洒落アドバイスも実にうまく盛り込まれてるあたり、常に趣味と実益を兼ねたい乙女ゴコロも鷲掴み。バイタリティ溢れる女の子はいつの世もかわいい!


13月の悲劇
美内すずえ

[初出]1971年
『別冊マーガレット』9〜10月号



 美内と言えばホラー漫画! と言うのが小さい頃からのイメージ。学校の休み時間にこっそり回って来たコミックスには必ず混ざっているのが美内の怖い漫画! わたしの怖い漫画に対する恐怖心はここで植え付けられました〜でも、大きくなって読み直してみると怖い以外の要素が多い事に気がつくのですよね。長年にわたって活躍する美内先生の一貫した作品性を感じさせる一品です。

ジェシカの世界
西谷祥子

[初出]1967年
『週刊マーガレット』4号〜14号




 美貌の母親に愛されないジェシカは孤独の中で、幾つかの顔を使い分けている。最初それに面食らった画学生のハリーは徐々に近しい存在になり、良い理解者になっていく。今読んでもこれってホントに昔の作品?というほどにそのテーマの先見性に驚く。壊れやすい心を抱えながらあっけらかんと「雪みたいに死にたいな…」と話すジェシカ。これは萩尾さんの「雪の子」にもつながっていくような場面。少女漫画の先駆者の名品は今も色褪せない。


ガラスの城
わたなべまさこ

[初出]1969年
『週刊マーガレット』3号〜70年49号



 透明のビニルカバーがかかった白いきれいな本…漫画が本になってるんだ〜、と驚いた。「汚さないでよ」となかなか貸してくれないクラスメート…。高嶺の花だった「ガラスの城」のマーガレットコミックス。全裸、レズビアン風味、魔女裁判、小学生に色んなショックを与えつつ、矛盾点も容赦なく展開する愛憎ドラマ。何十年かぶりに読んでもやはり印象的なのは悪役のイサドラとミューズ。と、地の果てまでも忠実な執事のクロッキー!

風の中のクレオ
一条ゆかり

[初出]1970年
『りぼん』8月号〜71年2月号




 そう、昔の『りぼん』にはこんなに暗いお話が載っていたのですねぇ。愛に飢えためちゃくちゃ孤独な美少年。破滅型で悲劇を背負ってて…天真爛漫な少女が彼を救おうとして心身ともに傷ついて。謎のカリスマ女性も才色兼備の実の母も、だれも彼を救えない。彼自身の他は…。生きるとは? 愛とは? という大テーマを読者に直球で投げた若さ青さが熱いです。今読むと「ああ、ここにあったのね!」と手を打つ少女漫画なモチーフがいっぱい見つかります♪


モンシェリCoCo
大和和紀

[初出]1971年
『週刊少女フレンド』17号〜50号



 かわいい絵柄とかろやかなストーリーが小気味良い、70年代パリ・ファッションデザイナーもの。連載は『anan』『nonno』創刊後すぐ。小学生の私はファッション提案を夢中で読み、キュートなモデルの決めポーズを真似して描いたもの。でも良く覚えていたのは、かつての恋人を隔てたドアの前でココが泣き崩れるポーズだったりします。コマ割などの画面構成もメリハリが利いていて華麗で洒脱。これぞ少女漫画というスタイルもこの時代に完成の域?

ナナとリリ
里中満智子

[初出]1967年
『週刊少女フレンド』18〜47号




 舞台はニューヨーク。 両親の事故で生き別れた双子の姉妹、ナナとリリ。10年後に二人は偶然再会する。逆転した環境、姉の病気、同じ人を愛する予感…。種々の設定をごく自然に初回に収め、ドラマを一気に加速させテンション高くどんどん続く。借金、破産、婚約、破談、戦争、記憶喪失…これが説得力あるんです。15才がかなりのオトナ、そして貫くのは「純愛」! 巨匠10代終わりの作という事実に驚き、全2巻とは思えぬ濃さに酔いたまへ、君。



5年ひばり組
巴里夫

[初出]1965年
『りぼん』7月号〜69年10月号




 ピーチクパーチク騒がしい「ひばり組」の転入生・美季は、思ったことをちゃんと言える女の子。そんな美季が気に入ったマンキチは、ぴったりのあだ名を付けようと苦労する。泣いたり笑ったり怒ったり……友達とのたくさんのやりとりをへて、自然にクラスがまとまった時、美季はみんなに「シンカンセン」と呼ばれていた。今も昔も変わらない子供の心をじっくり描き、友情や家族を再考できる巴作品。今の時代、教科書に採用とかありませんか?!


章子のエチュード
池田理代子

[初出]1972年
『週刊マーガレット』1号〜18号




 「ベルサイユのばら」直前の作品。両親を突然の事故で亡くした16才の章子は、亡父の仕事つながりの知人だった桐島家に身を寄せ、お手伝いをしながら高校に通う。いきなりそれってスゴいよ…!?と今でこそ苦笑いだけど、初読当時は厳しい人間関係にひたむきに立ち向かう章子に同情したもの。環境や立場が変化しやすい女性の脆さもさまざまな形で描かれ、問題提起も多く含む。そう、歴史ロマン大作や男装の麗人ばかりが理代子作品ではないのです。


作品紹介を担当するのは
 卯月もよ  小西優里  天野章生  岸田志野  城野ふさみ

●書影はamazonアソシエイトプログラムbk1ブリーダープログラムを参照、または、所蔵本を撮影しています。

 
◎掲載の文章、資料及び図像についての複写および転載はご遠慮ください。 ご意見・ご感想はBBS 図書の中庭まで[少女漫画ラボラトリー【図書の家】
(C)1999-2007 K-eyes/toshonoie All rights reserved.