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 日々の折々、図書の家研究員がおすすめ漫画をナビゲート。
 今回は「コスチューム・プレイ」(本来は時代衣装を着けて演ずる時代劇の意)をテーマにセレクトしてみました。
 あなたはどの時代、どの国の扉を開きますか?
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千本めのピン
萩尾望都

[初出]1973年
『週刊少女コミックお正月増刊フラワーコミック』

 ダイヤの粒のついた千本のヘアピンがお姫さまの髪できらめいているイメージ、なんてきれいなのでしょう。そのピンが一つ足りなくて髪を結えなかった7番目の末っ子姫さまのかかとまでくるくる落ちる長〜い髪、これもドレスを引きずっているからこそ絵になる。典型的なお姫さまドレスとくるくる髪、まねっこして描きたくなりますよ!

シリーズ−ここではない★どこか
貴婦人-メッセージ その2-

萩尾望都

[初出]2007年
『月刊flowers』3月号
←書影は掲載誌


  雑誌掲載ホヤホヤの最新作。去年からのシリーズ連作中にひとつだけクラシックな欧州ドレスものがありまして、その二話目がキターーー!! 去年の「メッセージ」は10代のお姫様がお相手だったのが、今度は中年の上品な貴婦人が登場。あの謎めいた黒マント男は…? というのは読んでのお楽しみ…なんだけど、とにかく萩尾センセの高雅なロングドレスはいいなあ! 実はこの枠「メリーベル」で考えてましたが、同テイストの新作をどうぞ。


ベルサイユのばら
池田理代子

[初出]1972年
『週刊マーガレット』21号〜73年52号

 コスチューム・プレイといえば、やはりこれ。貴婦人達が流行のドレスを競う舞踏会シーンに、ときめかない少女はいないってものであります。気に入ったドレスはひたすら真似してお絵かきしたなあ。ちなみに私が人生初めて全巻買ってもらった漫画でもあるのですが、いくら社会現象ってな大ブームだったとはいえ、幼稚園児に買い与えるにどうなのかというオトナな内容であったことは、母は未だに知らんのだろうな。

エル・アルコン
―鷹―

青池保子

[初出]1977年
『別冊セブンティーン』10月号〜78年2月号


 海と陰謀に生きる男のハードな人生を描いた物語、ゆえに基本野郎ばっかで綺麗なドレスなんかはあまり登場しないのだがしかし。「紫を着る男」の“かぼちゃタイツ”を挙げずして何がコスチューム・プレイか!とここは敢えて。青池キャラの中でも随一のドシリアスさを誇る彼ですが、「イブの息子たち」の番外編に登場する、塩漬け肉ばかり食べてるおとぼけ風味の彼もまた良し。


伯爵令嬢
細川智栄子&芙〜みん

[初出]1979年
『ひとみ』新年特大号、2月特大号、4月号〜84年11月号

 細川智栄子といえば「王家の紋章」ですが、なかなかあの大作には手を出しにくいなぁと思っていらっしゃるそこの奥様に是非お勧め! これでもかっ!というドラマチックでロマンチックな展開こそ少女漫画の醍醐味! ドレープたっぷりのドレスから水着に快活な働く婦人スタイルまで、19世紀のパリの出来事や服飾文化もしっかり描かれております。ああ、うっとり〜v でもでもやっぱり私としては強引なアランにメロメロっすよー!

カルバニア物語
TONO

[初出]1993年
『Noel』Vol.2〜『Chara』(94年掲載誌名変更)連載中


 華麗なドレスをまとったお人形のようなタニア。昔見た塗り絵や着せ替え人形を彷彿とする可愛い世界。でも、タニアもエキューもすごーくリアルでシビアな女の子。甘いお菓子だと思って口にしたら毒入りです! 女の子に幻想を抱いちゃっている方はお断り! 着飾って笑っているだけの女の子なんてどこにも居ません。みんな良いところもあれば嫌なところもある。自己チューでひがんだり嫉妬したりうぬぼれたり、ああ、女の子ってホント楽しい。


エトルリアの剣(つるぎ)
原案:名木田恵子
漫画:文月今日子


[初出]1975年
『別冊少女フレンド』8月号、9月号

 文月コスチュームなら、イタリアンなヴェネチア豪商の娘「金のアレクサンドラ」のゴージャスドレスもいいけど、古代イタリアを舞台にした本作の神話的世界の衣装もすごくいい! ヒラヒラふわふわのうすーい布をまといなびかせ、細くて長〜い髪のラインが流れるように描かれて…そんな美しい人たちが剣を手に馬に乗り戦う、豪奢でありながら高潔な香りの文月世界! この凛とした愛らしさはハマるよ? 間違いなく。

杖と翼
木原敏江

[初出]2000年
『プチフラワー』9月号〜02年5月号、『月刊flowers』6月号(創刊号)〜05年3月号


 去年の文庫化で160ページを加筆、その8割を一人で描いた…ってスゴイ! と一気読みしたらズンと来た。なんで連載と印象違うの? 諸事情で削ったエピソードを加えただけじゃない。「衣装とか髪がなびく時代が好き」という木原先生は物語るため小さくしていたコマを広げ、エプロン姿の貴族の娘がドレスの裾を揺らし小粋にステップを踏む…加筆で格段に柔らかくなった語り口に新鮮なオドロキ。木原的フレンチコスチューム堪能作!


うるわしの英国シリーズ
波津彬子

[初出]2000年
『プチフラワー』3月号〜『月刊flowers』にて掲載中

 華やかなりし19世紀末英国の社交界を舞台に、生き生きと描かれるのは自分らしく生きようとする少女、青年、プライド高き老紳士に頑固な老淑女。当時の貴族の生活が現実にどうだったか、細かいことはどうにでも。硬質で美しい線が描き出すのはモダンなドレス、館、花々! 和室四畳半から生まれ出て、麗しの英国に読者を軽々と連れて行ってくれる。シリーズといってもどの本から入っても大丈夫! 目がしっとり潤おう世界が広がる。

危険な席
森川久美

[初出]2004年
ネムキ増刊『夢幻館』Vol.2


 それらしく見えればいいんだよ(誰も座らないから)と言いつつ、アーサー王伝説の「危険な椅子」を探す男の調子の良さ! 光輝な騎士団長はひたすら麗しく、彼に恋するヒゲのイサークはひたすら健気。このままコミカルな展開かと思いきや、壮大なラスト。もしかしてこれってイスの都の伝説つながり? あ、ここのカットって坂田先生のお手伝い? …いやいや、余計な邪推はともかく。歴史モノといえば森川さんははずせない!!


リボンの騎士
手塚治虫

[初出]1953年
『少女クラブ』1月号〜56年1月号
*リメイク版は『なかよし』1963〜66年

 手塚先生によれば「リボンの騎士」はコスチュームプレイの総仕上げ作とのこと。おとぎ話に出て来る人たちの典型的なコスチュームを見ることができるし、必ずリボンのついてるサファイアのコスチュームは色んなことを象徴してるようです。で、私がダンゼン好きなのが魔女の娘ヘケートのエピソードです! ほんとに女の子らしい心を持っていたのにね……泣けるわ。

白面貴公子
名香智子

[初出]1982年
『DUO』9月号
*書影は所収本


 出てくるのは美形の若者2人とタイプの違う美女3人、閑と金のある貴族のラブ・アフェア〜。白い仮面で美しい顔を隠した白面貴公子は義賊ってことになってるけど、ほんとうに盗んでいくのは宝石じゃぁないのです♪ ラグジュアリーでシニカルな作者お得意の大人の寓話。時代はコスチュームや調度からして17世紀頃でしょうか>名香先生?


作品紹介を担当するのは
 卯月もよ  小西優里  天野章生  岸田志野  城野ふさみ

●書影はamazonアソシエイトプログラムbk1ブリーダープログラムを参照、または、所蔵本を撮影しています。

 
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