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 日々の折々、図書の家研究員がおすすめ漫画をナビゲート。今回は「こわい話」をテーマにセレクトしてみました。
 残暑厳しい夏の終わり、背筋が思わずヒンヤリ寒くなるような夜の闇を感じてみるのも一興です。 
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モードリン
萩尾望都

[初出]1971年
『週刊少女コミック』29号



 モードリンが大人の背伸びして秘密を反芻しながら過ぎてゆく前半。何も起こらなくて不安になっているところへ急展開の後半。少女の心理も怖いしアクションにもハっとしてちょっと昔のアメリカのサスペンス映画っぽいのよ〜と久々に読み返したら、この一見ハッピーエンドにあっさり終わった後の展開を想像して、ゾっとしました(汗。

温室
萩尾望都(原作:イケダイクミ)

[初出]1975年
『月刊セブンティーン』6月号




 廃墟の温室、枯れたバラ、魔性のものを虜にするほどの美少年…という設定は今時は照れちゃうかもしれませんが、これはぜひまっすぐに鑑賞してほしいミステリアスな異色短編。ポー・シリーズ第2期執筆の狭間に描かれ、絵も話も恐ろしいまでに冷たく美しく、ため息ものです。「トーマの心臓」の怪奇テイスト版として読むのもまた良し。


唄う骨
戸田誠二

[初出]2001年
『まんがグリム童話』8月号



 勧善懲悪の物語はスカッと爽やか気持ちがイイ、がしかし、何が善で何が悪かなど、結局は相対的なもの。たとえ殺人者でも殺人者なりの「正当性」があり、それを押し通せなくなった時点で悪となり敗者になる。負けることは恐ろしい、己の悪を認めることも。でも戸田誠二はいつだってそういう敗者を主役に据え、「負けとなったとき何を思うか」で、どんな人間であれ“人は変わっていける”と言ってくれる。

手の鳴るほうへ
福山庸治

[初出]1994年
文藝春秋5月臨時増刊号『コミック'94』 〈初夏号〉




 福山庸治のショートは、怖い話でもどこかおかしく、コメディであってもどこか怖い。アア良かった、終わった…!と思った事が、全然終わってないからである。傷のついたレコードのように、ほんの些細なきっかけで延々続く無限ループ。どれだけ逃れようとしたところで結局は「一生同じことの繰り返し」だということを、恐怖ととらえるか笑い飛ばせるかってところが、人生の分かれ目なのかもしれない。私はどっちだろ?


魔少年ビーティー
荒木飛呂彦

[初出]1983年
『週刊少年ジャンプ』42号〜51号



 主人公が巧妙なトリックを使い悪巧みを成功させたり、復讐を成し遂げると言うストーリーは当時の少年誌の中でも異質だったのではないでしょうか?小学生だった私はこの漫画に流れる雰囲気を恐いと思いつつも、強い意志を持ち真っ直ぐで友情に熱い少年BTと小市民的少年公一君の2人組にドキドキして目が離せなかったものです。

『魔百合の恐怖報告』シリーズ
(まゆりのショック・レポート)

山本まゆり

[初出]
『ほんとにあった怖い話』掲載




 恐い漫画はほんとうに駄目な私ですが、それでも読み続けてしまう漫画が一つだけありました! 心霊現象というものは事故の様に降り掛かって来る恐いもの(怯)と言うイメージだった私ですが、この漫画はちゃんと解決まで導かれて、読後感がスッキリ。クールな玲子さんもかっこいいですv(テーマからずれて…orz)


紅グモ
楳図かずお

[初出]1965年
『少女フレンド』47号〜1966年3〜10号



 1960年代後半、週刊漫画誌に必ずあったこわい漫画。絶対に読まない見ないと心に誓ったところで、従姉妹の本棚、習い事屋、歯医者の待合いと“楳図かずお”はどこにでも居た。継母に紅グモを飲まされた姉の体内で増殖した紅グモは、皮膚を破り、無数にあふれ、私もついには蜘蛛になる…ええい、しっかり夢に見ましたとも!

白い影法師
美内すずえ

[初出]1975年
『月刊ミミ』10月創刊号




 怖い漫画を選ぶなら必ず入る有名作。さんざん評判を聞いてから手に取った口なので、そこそこ筋を知ってたらそんなに怖くないはずと、うかつに読み始めて後悔しました。例の○○○の衝撃の1ページには「なんでこれを見ちゃったんだあああ」。読み返したくないベスト10入り。少女漫画史に輝く不滅のトラウマ漫画、保証します。


秘密-トップ・シークレット-
清水玲子

[初出]1999年
『月刊メロディ』3月号〜2003年2月号



 死んだ後に取り出された脳から、生前の目が見ていた画像を映し出す!なんて発想!実際に可能になったら、と想像するだけで総毛立つ。この方の美しい線で描かれる脳や内臓は、美しいグロテスクの世界。殺人犯に脅迫状代わりに送りつけられた脳、そこに遺された夢の画像はまるでシュールレアリズム絵画のよう。怖いのに目が離せない、恐ろしくも甘美な世界を是非ご堪能あれ。

ゆうれい談
山岸凉子

[初出]1973年
『りぼん』6月号付録




 怖いマンガ!といった時にまっさきに浮かぶのが山岸作品。たくさんお薦めがありすぎて、最後までどれにするか悩んだ。どれも怖いし、イイんだよぉー; この作品では実際の体験談がリアルに描かれているということもさることながら当時の漫画家仲間の様子が伝わってきてファンには必見。続編的に描かれた「読者からのゆうれい談」もある。夏の夜の山岸凉子、背筋が涼しくなること請け合い!


聖ロザリンド
(セイント・ロザリンド)

わたなべまさこ

[初出]1973年
『週刊少女フレンド』連載開始号不明〜41号



 大御所わたなべまさこには怖い漫画数々あれど、これは「トラウマ漫画」ベスト10にはいるんじゃ。きれいさと不気味さが同居した絵からして怖い。ロザリンドの中の悪魔は突然目覚めたらしくてすごい密度で猟奇的な殺人が続くので気分は悪くなるし頭が痛くなる。でも彼女を心から愛している両親や執事がいて彼女も両親には素直なのが哀しいのです。

生霊
(いきすだま)

ささやななえこ

[初出]1986年
『ASUKA』9,11月号




 なんだろう、ささやさんのスマートではない描線や人物の造形が形のないものが醸し出す不気味さをじわじわ〜と伝えるのにぴったりっていうか……映画は見ていないけど絶対漫画のほうが怖いだろうな。ページをめくった時の「ギャッ!!」っていうのがね。この根暗な女のヘアスタイルが高校の時の自分に似ててやだなーっていうか……。やだわ〜。


作品紹介を担当するのは
 卯月もよ  小西優里  天野章生  岸田志野  城野ふさみ

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