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日々の折々、図書の家研究員がおすすめ漫画をナビゲート。今回は「バラ」をテーマにセレクトしてみました。
今日あなたが手にとる漫画にはどんな「バラ」が咲いていますか?
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ポーの村(ポーの一族)
萩尾望都

[初出]1972年
『別冊少女コミック』7月号



 薔薇の咲く村ポーの村! エドガーとメリーベルがポーツネル伯爵夫妻と家族のように暮していたポーの一族の本拠地ポーの村。この作品によってバンパネラたちが薔薇のスープを飲み薔薇のエッセンスを嗅いで生きるロマンチックな怪物であることが世に知らされました。少女達がドライフラワーやポプリ作りに夢中になり、薔薇のジャムやら香料やらを探し求め始めるのはこの時1972年からであったのです。

小鳥の巣(ポーの一族)
萩尾望都

[初出]1973年
『別冊少女コミック』4月号〜7月号




「だあれが殺したクックロビン」と作中で歌われるマザーグースも超有名な本作ですが、忘れられないのはアランが食した深紅の薔薇「クリムソン・グローリー」。70年代、この薔薇を一目見たいと街の花屋でその名を尋ねた多数の女子学生は、当時ほとんど入手できなかったのでは? 今なら苗から育てられますね。隔世の感です。


おれは薔薇
茶木ひろみ
[初出]1988年
『マーガレット』4号〜11号



 半田の背中には薔薇の痣が浮かび、薔薇の香りの体液は猛毒、惹かれ合いながらも結ばれることは出来ない二人! …なのに耽美じゃないんですよね〜〜こんだけ耽美要素揃っているのに! 薔薇=耽美を想像される方にはオススメいたしません。ちなみに半田氏の職業は黒い腕カバーの似合う税務署職員です。茶木モードで全体にオカルトチックですがオカルトではないのです…。

墓に咲くバラ(パタリロ!)
魔夜峰央

[初出]1979年
『花とゆめ』8,9号




 たくさん出ているパタリロ!のなかでもこの2話目の薔薇園で倒れ込むシーンが子ども心に衝撃でした。全体を通しても特に薔薇が乱舞している訳でもないと思うのですが「薔薇= バンコラン」の構図が刷り込まれてしまいました。背徳心をそうっと胸に秘めていたのにバージョンアップしてお茶の間に帰って来たときには恥ずかしくて仕方が無かったです^^; いやまったく美しさは罪です。


紅玉の園にて
花郁悠紀子

[初出]1977年
『ビバ・プリンセス』10月増刊号



 財産を狙う親族達はどこかお間抜け、当主の美青年ゆいは調子はずれ。相続をめぐる暗い陰謀のはずが、軽いコメディタッチで始まる。バラの咲きほこる洋館、そのバラの化身のようなゆいとるり子の恋情、一方で中心にあるのはどこか血腥い大粒のルビー。豪華な道具立てに関わらず、決して耽美に落ちないところがこの作品の魅力!

Z−ツェット−
青池保子
[初出]1979年
『ララ』8月号




 本編のエロイカで下克上のように主役級にのし上がった少佐。彼の部下達との絡みの中で新米Zはこちらの作品で主役を張った後出てくるようになったとか。新米の彼の情けなさ、一途さ、けなげさが愛しい。この作品では青いバラを作ることを夢見るバラ作りマニアが登場、ラストもバラが見事に活かされて思わず胸がすく快作。


リベルテ144時間
大島弓子

[初出]1975年
『プリンセス』12月号



 大島漫画の登場人物はしばしば薔薇の花束を抱えている。その中から何ゆえ冬が舞台の本作を出して来たかといえばこの台詞→『バラによりかかって歩いている』--ですよ! 「きっといいことがありますよ」と差し出された一輪のバラにすがって歩く美しき扶草の君。なんと端的に彼女の精神状態を表していることか。うつむいて歩く時、胸元にバラを一本抱えているつもりになってしまうのは大島由来なのです。

ローヌ・ジュレエの庭
水野英子

[初出]1979年
『花とゆめ』8,9号




 薔薇の咲く館で薔薇に囲まれ薔薇を食べて生きる美少女--とってもメリーベルを髣髴とさせるローヌなのですが水野英子独特の筆運びで描かれた少女の美しさは凶気じみて幻想的。画面構成も絵物語っぽくて西洋のお伽噺を聴いているような気がしてくるのです(語りは岸田今日子さんで)。作者のこの時期の傑作だと思います。


星の時計のLiddell
内田善美

[初出]1982年
『ぶ〜け』6月号〜83年8月号



 むせかえるような香りが匂い立ち、月光に照らされ浮かび上がるバラの艶やかさが恐ろしいまでに美しく。夜毎見る夢に突如現れた、バラの花園の中に佇んで意味深なメッセージを残す、謎の美少女。その登場シーンのインパクトは鮮烈に脳裏に焼き付いてます。超絶画力も含め「畏怖」に近い凄みがこの漫画にはあるですね。

ガラスの仮面
美内すずえ

[初出]1976年
『花とゆめ』新年1号〜不定期連載中




 『ガラスの仮面』といえば「紫のバラの人」! 『キャンディ・キャンディ』の「大おじさま」と並ぶ少女漫画界の足長おじさん両横綱。そいや『キャンディ…』のほうもバラのエピソードありますね、やはり少女のロマンはバラと大富豪のパトロン…。ってぶっちゃけた真実には気付かなかったふりをして『ガラかめ』を再読すれば、真澄さまの乙女のごとき健気な恋心にホロリ。


きりとばらとほしと
石森章太郎

[初出]1962年
『少女クラブ』夏休み臨時増刊号



 第2部、事故で記憶をなくした謎の少女リリが滞在する洋館にバラの咲き乱れる庭がある。少女漫画でバラの花をこんなにページにあふれさせたのもこの作品が先駆かもしれない。吸血鬼がバラを摘むとその花はしおれていく…。真夜中の庭に花びらが散るシーンは幻想的。『ポーの一族』着想時にはこの作品が頭にあったと萩尾望都が語る歴史的作品。

未来より愛をこめて
清原なつの
[初出]1981年
『りぼんオリジナル』冬の号〜82年秋の号




 物語冒頭で記憶を消される青年研究者の名は「クリムゾン=グローリィ」。萩尾望都を連想しニヤついていると秘密のバラが咲き乱れる庭に、ロゼと名付けられたくるくる巻き毛なロングヘア美少女も。しかしバラづくしというのは、なぜこんなにも少女漫画なココロを揺らすのか。懐かしい、しかし古びない清原ファンタジー!


作品紹介を担当するのは      
 卯月もよ  小西優里  天野章生  岸田志野  城野ふさみ

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