HOME萩尾望都研究室少女漫画研究室展示室BBS中庭
サイト内検索 AND OR
img
日々の折々、図書の家研究員がおすすめ漫画をナビゲート。今回は「音楽」をテーマにセレクトしてみました。
聞こえるはずはないのに、確かに聞こえる美しい旋律、心躍る音楽。あなたはそんな漫画をいくつ知っていますか?
過去INDEX] 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25  26 27

作家INDEX] dataアイコンをクリックすると作品の詳細データがわかります。



銀の三角
萩尾望都

[初出]1980年
『SFマガジン』12月号〜82年6月号



 これは萩尾SFの集大成といっても過言ではない。掲載誌が『SFマガジン』ということもあって、入り組んだ時空間の設定も遠慮がないし、得意のモチーフやアイデアがぼこぼこと盛り込まれている。最初は隙のないエリートだったマーリーがどんどんメッシュ?みたいな頼りない感じになっていくのもカワイイ。そして何より、壮大な音楽が視覚化されたかのような、流れるような美しい線! ラスト、画面いっぱいの音楽が胸に響く。

アメリカン・パイ
萩尾望都

[初出]1976年
『プリンセス』2〜3月号




 萩尾作品とアメリカ南部の明るさは繋がらんのじゃ?と偏狭にも読み始める前には思っていた。…が、そういう話ではなかったのだな。少年のようなリューが心のうちをメロディにのせて歌い上げるシーンでは、風に乗り天の空に溶けるような少女の歌声が確かに聴こえたし、しんとしたライブハウスの舞台の上で彼女のタンバリンの音だけが空気を動かす、そんな静寂をも「読める」のだ。驚くよ〜、もう。


のだめカンタービレ
二ノ宮知子

[初出]2001年
『Kiss』14号〜連載中



 クラシックで笑い…、諧謔的なものならあったかもしれないが、普通に笑えるマンガになるなんて。のだめからはモノローグを一切廃し、その天然不思議っぷりを十分に活かし。オレ様千秋様のキャラは決して笑いに落ちすぎず。そのバランス感覚が素晴らしい。音楽関係者に綿密に取材した音楽的リアリティは細部で作品世界を支える。演奏シーンは鳥肌が立つほど、実際の音楽が聴こえてくるようだ。今、一押しの音楽マンガといえばコレ!

「変奏曲」シリーズ
竹宮惠子
(原作:増山のりえ)


[初出]1974年
『花とゆめ』9月号〜以降断続的に掲載誌を変えて発表




 なんたって、天才って素晴らしい! しかもそれが美形で二人とくれば! 当時、私はこの作品を読んで大学オケでいきなりバイオリンを始めちゃったんである。ミーハーもここにきわめり。長い物語の中のぎゅっと圧縮した一部分を、視点を替えてまさに変奏的展開。この手法も見事! 確かに息づく世界、登場人物達の人生に思いを馳せ、ラロを、バッハを、シベリウスを聴いた。憧れとしてのクラシック漫画の傑作。


ピアノの森
The Perfect World of KAI

一色まこと

[初出]1998年
『ヤングマガジンアッパーズ』第9号〜2002年22号、『週刊モーニング』2005年20号〜連載中



 音楽漫画を読むために音楽の知識は必要なのか? …なくたって全然オッケイ、なんならないほうが楽しい気が…。音楽用語とかいっぱい出てきたりするのをSFやファンタジーを読むような心地で楽しむのです。きっと作家さんたちはしっかり調べて生かしてくれているのかもしれないけど…ベートーベンもモーツァルトも良くわかんないけど、ピアノを弾くカイは楽しそうで幸せそう。そういうのがじーんって胸に伝わるのって凄くない?

ソルフェージュ
よしながふみ

[初出]1996年
『花音』6月号(以降連作)




 へぇ〜そんな名前のものがあるんだ、はじめて聞いた言葉「ソルフェージュ」。漫画で覚える言葉って結構たくさんあるよね? 合唱の心地良さはみんな覚えがあると思うし、こんな音楽の先生がいたらもっと音楽を好きになっていたかも。そんな説得力がある久我山先生。まぁ、いじわるでちょいと破綻した性格ですけど^^カーテンコールのスーッと胸の奥に収まるような最終回がお気に入り。あ、BLオッケイ!って人にのみオススメです〜。


神童
さそうあきら

[初出]1997年
『Weekly漫画アクション』 4月15日号〜1998年 6月9日号



 同じ曲のCDを買って聞いたって。それは他人の演奏で、うたの演奏と同じではない。では彼女の演奏はいったいどんなものか?曲名でも言葉でも観客が驚く描写でもなく、絵だけで表現するなんてことができるんだ!と心底驚いた一作。実際うたの演奏が聞けても、ここまで私は感じ入ることはできないかもしれない。でもわかるんだ漫画なら。漫画って凄い! そしてラスト、タイトルの“音”が示すもうひとつの意味を知り。また落涙…。

糸のきらめき
くらもちふさこ

[初出]1974年
『花とゆめ』9月号〜以降断続的に掲載誌を変えて発表




 たったこれだけのページ数なのが信じられないほど、克明に丁寧に描かれる「天才歌手・橘彩子」の半生。読んでるこっちも身を切られるくらい痛い、彼女の試練は、ラストに至る時にも、けして終わったわけではないのだが。それでもあの歌唱を“聴き”、そしてあの微笑を見たら、人生の幸と不幸を差し引きで考えることなどできはしないと思う、思うしかないのである。この『糸のきらめき』が現在絶版なのは真剣に由々しき問題です。 
●文庫に入っているとお知らせいただきました、謹んで訂正します。みさかえさん、情報ありがとうございました!


プライド
一条ゆかり

[初出]2003年
『コーラス』2月号〜連載中



オペラな声楽ものではあるがその内容は、貧富、才能、プライドの持ち方、恋愛の相手…と全てに対照的な2人の女のバトルが中心。その中で一見タカビーなお嬢様タイプの史緒を読者が支持する傾向なのは興味深い。今のところ、他人との比較よりも自己との戦いに突入した史緒クンに軍配が…? そんな対立をしながらも二人が声を重ね、より高みの音楽をめざす場面は圧巻。まだまだ続きますよ?

くしゃみ3回
吉田まゆみ

[初出]1998年
『コーラス』 4・6・8月号、12月号〜99年4月号




 同じ歌い上げるといっても、こちらは演歌。プロなのに、ぼろアパートの狭い湯船で大きな声で歌ったり、友達と行ったカラオケでマイクを離さないほど歌が好きな晴美。読むうちに彼女はなんとか成功してほしい!とヤキモキするが、そこはそれ吉田まゆみセンセだから、ちっとも歌は売れないし苦労も続きます。恋する相手がお互いの声に惚れるところが色っぽくて秀逸。流石です。


空がすき!
竹宮恵子

[初出]1971年
『週刊少女コミック』12〜21号、1972年32〜41号



 第2部の連載をリアルタイムで読んだのはまだ素直な中1の頃。風のように自由なタグの影を追うジュネにシンクロして切なかった…。タグの「歌」(なんせミュージカル漫画なので!)ってどんなメロディーなんだろう?詩に合わせて曲を作ろうとして作曲の才能ナシと悟る。ラジオやレコードで「シャンソン」を聴いては歌詞カードのフランス語を意味も分からずせっせとノートに写していました。

いつもポケットにショパン
くらもちふさこ

[初出]1980年
『別冊マーガレット』2月号〜1981年7月号




 きしんちゃんのママの優しいそぶりに隠した陰湿ないじわるに、小5の頃習っていた中年の女性のピアノ教師を思い出す。この漫画読むとピアノを弾く喜びと思うように弾けないいらつきが甦ってちょっと辛い…。それだけに麻子が弾く事で精神的に成長し本来の才能を開花させてゆく姿に、凡人の私は安堵する。

作品紹介を担当するのは
 卯月もよ  小西優里  天野章生  岸田志野  城野ふさみ

●書影はamazonアソシエイトプログラムbk1ブリーダープログラムを参照、または、所蔵本を撮影しています。

◎掲載の文章、資料及び図像についての複写および転載はご遠慮ください。 ご意見・ご感想はBBS 図書の中庭まで[少女漫画ラボラトリー【図書の家】
(C)1999-2007 K-eyes/toshonoie All rights reserved.